西岡 完全復活へ…遊撃守った 「ケガする前よりはるかにいい」

 「ウエスタン、阪神4-2ソフトバンク」(11日、甲子園球場)

 昨年7月に左アキレス腱を断裂した阪神・西岡剛内野手(32)が、ウエスタン・ソフトバンク戦に移籍後初となる遊撃でスタメン出場。2度の守備機会を無難にこなし、打撃でも5試合連続安打。1軍昇格は2軍戦でのフル出場を経てからとなるが、着実に復活の階段を駆け上がっている。

 遊撃にその姿があった。背番号5。完全復活に向けた本格稼働。観客の視線が注がれる中、西岡が日本ではロッテ時代の2010年以来となる「1番・遊撃」でスタメン出場し、全ての守備機会を難なくこなした。

 三回に高田の飛球を確実に捕り、五回の城所のゴロは軽快にさばいた。二盗を試みた走者には、捕球が難しい送球を軽快にグラブに収め、鮮やかにタッチを決めた。「ケガする前より、はるかに今の方がいいですよ。とりあえずショートで出られれば、全ポジションで出られるところまで状態を上げてきましたよっていう意味で」。西岡は淡々と振り返った。

 バットでも存在感を見せつけた。五回1死二塁から、左翼への適時二塁打を放ち、3打数1安打1打点。5月30日のウエスタン・ソフトバンク戦で復帰して以来、5試合連続安打をマーク。2試合連続打点と、ここぞという場面での勝負強い打撃が光る。

 だが、掛布2軍監督が何度も振り返ったのは第1打席。セーフティーバントは投ゴロに終わったが、勢いよく一塁を駆け抜けたシーン。「今日は最初の打席のバントが全て。全力疾走で安心した」と目を細める。フリー打撃時にバントを多めにこなすなど“奇襲予告”はあった。「やるかなとは思っていたけど、いきなりやるとはね。This is 西岡だよ」と“らしい”プレーに笑顔だった。

 日本球界復帰1年目の2013年。遊撃手としての打診があったが「できる自信がなかった」と振り返る。それでも故障後初めて就いた守備位置は遊撃だった。「今はそこまでできるという自信がついた。1年目よりは、アキレス腱が切れてくれたおかげで、状態もよくなって肉体も戻ったと思う」と前を向いた。

 悪夢のような出来事から326日。ここまで諦めずに前だけを見て進んできた。こぼれた「楽しかった」という言葉。13日からの同・中日3連戦(ナゴヤ)では、2試合で指名打者で出場し、1試合は外野の守備に就く。そして、23日からの同・広島戦(甲子園)からはフル出場を目指す。1軍昇格に向けた青写真は整った。懸命にケガと野球と向き合い続けた日々が報われるまで、あと少しだ。

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