中谷、高山とマルチ競演 若虎クリーンアップ上昇気配
「交流戦、阪神2-4西武」(14日、甲子園球場)
夕暮れ時の甲子園にカーンという快音が響いた。打球音が捉えた感触を確かなものにする。鋭い打球は左前へ。「5番・一塁」で先発出場した阪神・中谷将大外野手(24)が2安打と活躍。クリーンアップの最後の椅子にどっしりと座る男が、バットで意地を見せた。
4点を追う五回だ。四回まで1安打に抑え込まれていた西武先発・岡本の直球を狙いすました。初球をフルスイング。快音が甲子園に響き渡ると、打球は勢いよく左前へと伸びていった。6番・鳥谷が中前二塁打で続き、無死二、三塁と好機を演出。その後、俊介の二ゴロの間に、三走・中谷がホームを踏んだ。さらに梅野の中犠飛で追加点。24歳の反撃開始の合図を皮切りに、この回2点を返した。
相手投手をマウンドから引きずり下ろしたのは六回だ。1死一塁から、左翼線を破る二塁打でチャンスメーク。ここで岡本は降板。チームが打ちあぐねた投手から、この日2安打としっかり結果を残した。
クリーンアップが息を吹き返した。9日からのソフトバンク3連戦(ヤフオクドーム)では、高山、福留、原口の3人が、3試合で計32打数1安打0打点と沈黙した。
この日は3番・高山が7試合ぶりのマルチ安打。指を痛めているとみられる4番・福留も3試合連続安打を記録し、中谷と3人で5安打。打線の中心に勢いが出始め、少しずつではあるが調子は上向いている。
期待を背負って-。2試合続けて5番を任された中谷。自身出場7試合ぶりの中軸に座り、前を向くしかなかった。13日は、プロ7年目で初となる三塁打を放ち、試合を決定づける2点をもぎ取った。2日連続の快音にも、おごることはない。「明日も打てるようにがんばります」。言葉少なに次戦を見据えた。