桑原、必殺仕事人や! 大ピンチも涼しい顔で、圧巻の3者連続三振斬り
「交流戦、阪神2-8楽天」(17日、甲子園球場)
阪神の3連勝はならなかったが、敗戦の中で魅せたのが桑原謙太朗投手(31)だ。同点の七回無死一、二塁に3番手で救援し、三好、ペゲーロ、岡島を圧巻の3者連続三振斬り。八回にマテオ、松田が乱れて試合は落としたが、きょう18日はチーム一丸で雪辱を期する。パ・リーグ首位の楽天を相手にカード勝ち越しで交流戦を締める!
救世主の登場を観客は歓迎した。場内アナウンスで名前をコールされると、小走りでマウンドに向かい、圧巻の3者連続奪三振だ。結果的に大敗で終わった一戦。見せ場は桑原が作った。プロ10年目、3球団を渡り歩いた苦労人。この日も必殺仕事人として、楽天打線を完璧に封じた。
出番は同点の七回。2番手・岩崎が無死一、二塁のピンチを招く。ベンチを出た金本監督は迷わず桑原への継投を告げた。まずは三好。送りバントを狙う代打に対し、全球スライダー勝負。2球ファウルで追い込むと外角球で空振り三振に仕留め、1死を奪った。
続く2番・ペゲーロ。左の強打者は“和製リベラ”の代名詞となった「真っスラ」で内を突く。カウント2-2からスライダーで空振りを奪うと球場のボルテージは最高潮。そして、3番・岡島はフルカウントから8球目。内角高めの147キロで3者連続奪三振ショーを完成させた。
15日の西武戦でも同点の七回に2番手で登板し、1イニング3奪三振。香田投手コーチは「ああいう、きついところでね。いつも申し訳ないと思っています。空振りが取れますから。感謝の気持ちと申し訳ない気持ちです」と賛辞を惜しまない。
32試合のマテオに続き、31試合目の登板。シーズン70試合のハイペースだ。肉体疲労に加え、緊迫した展開での登板。精神的疲労は想像に難くない。その中で防御率は0・91。珍しくガッツポーズを見せた右腕を、金本監督が歩み寄ってねぎらった。ベンチの信頼はもはや揺るがない。
昨季は1軍登板がないまま終わった。2軍戦でも29試合の出番しかなかった。「超変革」を掲げ、球団史上最多の61人が1軍出場したチームにおいて、日陰の存在だった。「自分自身で勝ち取った成果だ」とは久保2軍投手チーフコーチ。全体練習後は1人、ネットスローが日課だった。反骨心を力にピンチでも動じぬ心を磨いた。自力で1軍での居場所をつかみ取った。
これで登板11試合連続無失点。3連勝を逃した試合後、桑原は努めて淡々と振り返った。「たまたま結果的に三振になっただけ。自分の仕事ができたのはよかったです」。18日は交流戦最終戦となる。過酷な登板が続くが、勝利のためにブルペンで準備を整える。