梅野 孤軍奮闘マルチ&7打席連続出塁 “上本打法”を「参考に」上昇気流
「中日3-1阪神」(27日、浜松球場)
8番打者の阪神・梅野隆太郎捕手(26)が、唯一のマルチ安打と気を吐いた。浜松の虎党に届けた2本の二塁打が、5連敗を喫したチームの中で一筋の光。「勝てなかったので、残念です」。敗戦に笑顔はない。扇の要を担う青年は、厳しい表情のまま球場を後にした。
先頭で迎えた三回、先発・鈴木の甘く入ってきた直球をコンパクトなスイングで捉えた。左中間への二塁打でチャンスメークした。七回1死での打席では、逆らわずに右翼線を破る二塁打。この時点で、リーグ戦再開後7打席連続出塁。上り調子のバットが打線を支えている。
上昇気流に乗るきっかけは、上本の打撃にあった。練習時、試合中も背番号00の背中を凝視する。ステップ時に一度右足のかかとを上げ、地面に着地すると同時に左足を上げる。上体が捕手方向へねじれる悪癖を修正し、自身に合うタイミングの取り方も覚えた。
「上本さんの打撃を参考にしています。(右)足を上げることによって、軸足に体重がしっかり乗りますし。続けていきたいです」
ティー打撃から反復し、“上本打法”を体中に染みこませた。下位打線につながりが生まれれば、得点力も上がってくる。梅野が求めるものは投手を、チームを救う一打。打率・205からの浮上が、虎に勢いを与える。
一方、捕手としては反省を繰り返した。主砲・ゲレーロに一発を浴びるなど、先発の秋山が6回2失点で降板。「状態は悪くなかったんですけど」と悔いた試合後は、敗戦の責任を負っていた。「もう一回、話し合っていきたいです」。勝ちへの道筋をつくることが、最も大事な仕事だ。
今季初の5連敗を喫した阪神には、愚直に勝利へと挑む梅野の姿がある。次こそは、格別な美酒を味わいたい。懸命に白球を追う背中が虎を勇気付ける。