秋山、今季2度目の完投で8勝目 惜しいあと1人…7年ぶり完封は逃す
「ヤクルト1-11阪神」(21日、神宮球場)
落下地点を見届けると阪神・秋山は左膝から崩れ落ちた。11点リードで迎えた九回。1死三塁でベンチは前進守備を敷かせた。7年ぶりの完封を狙わせたマウンド。代打・飯原は遊飛に打ち取ったが、中村に左前適時打を浴びた。サヨナラ打を許したかのように落胆したが、仕切り直して藤井を二ゴロに。今季2度目の完投勝利だ。
「(完封は)意識した。でも、1人で投げ終えることができてよかったです。高山に助けてもらいました」
勝利の分岐点として感謝したのは初回だ。先頭の山田に11球粘られて右前打を許すと、上田の犠打で1死二塁。坂口に外角のフォークを中前に運ばれた。だが、中堅・高山の好返球で本塁生還を阻止。続くバレンティンを一邪飛に抑え、なんとか無失点で切り抜けた。
二回も死球と中前打で2死一、三塁。四回はヒット3本を許したが、無失点で切り抜けた。3戦連続で組んだ坂本とのコンビ。矢野作戦兼バッテリーコーチからは「引っ張ってくれ」と背中を押された。イニング間に言葉を交わし、意思の疎通を図る。五回から4イニング続けて三者凡退。共同作業の勝利だ。
「ヤマ張りな打ち方をしてくる打者も結構いた。うまく2人で話し合ってやれました」
調整期間では遠投に重点を置くようになった。「僕は投げ急ぐと球の軌道がシュートしやすくなる。時間を長く使うことと、体を大きく使うように」。能見らと同じ修正方法で、1年間ローテを守るために先を見据える。
初めての球宴登板を挟んで、カード初戦を託された。今季チーム2度目の完投勝利。いずれも秋山だ。「開幕の時のつもりで臨んだ。今日は良かったです」。7年ぶりの完封勝利は逃した。それでも連敗を止めた125球と8勝目。8年目にブレークした右腕が、後半戦も上々のスタートを切った。