ロジャースが三振しないワケ 外角意識の選球眼&軸がブレないフォーム
独自の視点からプレーの深層に迫る「虎目線」-。デビューから打率・412、2本塁打、7打点と好成績を残し、23日のヤクルト戦では4番も任されたジェイソン・ロジャース内野手(29)。結果を残す背景には、外角のボール球に一切、手を出さない確かな選球眼があった。2年前のメジャー昇格時にブレを少なくした打撃フォームが、日本でプレーする助っ人の“弱点”を消した。
ロジャースの打撃成績で、外国人選手とは思えない異質な数字が残る。来日してから19打席に立ち、いまだ空振り三振がゼロ(見逃しが2)。打席内容を追っていっても、ストライクゾーンからボールに流れる変化球には一切、手を出していない。
片岡打撃コーチ「軸がぶれない打撃フォームというのもあるし、本人も変化球というのはだいぶ意識を入れてやってるんじゃないかな。変化球を我慢していたら、自然とボールゾーンも上がってくるし、そこをしっかり捉えている」
プロ野球で“助っ人の洗礼”とも言われるのが変化球攻め。ストライクゾーンの中で勝負するメジャーとは違い、日本のバッテリーはストライクからボールになる変化球を振らせようと配球を組み立てていく。
そこに手を出せば、自然と三振数が増え、打撃フォームは崩れる。実績を持って来日しても、結果を出せずに本国へ戻った助っ人は少なくない。ロジャースはどういう意識で打席に立っているのか-。そこには他の選手とは違う、特異なボールの待ち方があった。
ロジャース「インコースに意識を置いているわけではなく、基本的には外角を中心に目付けして、内角に対応していくやり方。もっと内を見せてくるかなと思っていたけど、今は外中心に来ているからね」
過去にはマートン、ゴメスら外国人選手の大半が内角の直球にタイミングを合わせ、外の変化球に対応していく中、ロジャースは逆。外角に意識を置くことで、内角の直球に詰まらされる可能性はあるが、22日のヤクルト戦では小川の内角直球をきれいに中前へはじき返した。
本塁打に関しても、外角低めの変化球を我慢して見極め、浮いたボールを一振りで仕留めたもの。懐の対応に自信を持っているからこそ、あえて外角に意識を置くことができる。加えて技術的にもロジャースの打撃フォームはノーステップで上下動が少ない。目線がずれないため選球眼が狂うことなく、スイングはトップの位置からバットが最短距離でミートポイントまで出てくる。
ロジャース「2年前くらいにコーチと相談して、ステップを踏まないように変えた。ステップをしないことによって、ボールがしっかりと見られるようになった」
今後、他球団のスコアラーに研究され、攻め方はより厳しくなることが予想される。それでも自らのスタイルを崩さず、外角の変化球を我慢し続けられれば-。打線の起爆剤として、確かな数字を残すことができるかもしれない。