金本監督、負けてない 暗転ドロー自力V消滅も…マツダで五分「よくやったな」
「広島5-5阪神」(3日、マツダスタジアム)
痛恨のドローで阪神の自力優勝の可能性が消滅した。3点リードで迎えた九回にラファエル・ドリス投手(29)が同点に追いつかれる大誤算。延長戦では相手に得点を与えなかったが、勝ちきることもできなかった。それでも金本知憲監督(49)は敵地で広島相手に、1勝1敗1分けと五分に渡り合った戦いに手応えをつかんだ。奇跡の逆転優勝へ。猛虎戦士の力を信じて前に進む。
いくつかの感情が入り交じる。九回に追い付かれた悔しさ。負けなかった手応え。延長十二回の攻撃が終わった時点で、ついに自力Vが消滅。それでも、金本監督は前を向く。4時間34分の激闘で引き分けまで粘った戦いを振り返り、選手を称えた。
「(自力V消滅を問われ)そんなん、別に。(前を向いて戦うだけかと問われ)もちろん、もちろん」
前夜の勝利の勢いを持ち込んだ、理想通りの展開だった。初回に4点を奪い、投手陣は広島打線を相手に粘りを見せる。九回で3点のリード。昨年4月22日からの3連戦以来の、マツダスタジアムでのカード勝ち越しが見えていたが…。守護神・ドリスがまさかの3失点。同点に追い付かれてしまった。
「(不運な当たりを問われ)それもベースボールだと思う。新井さんの当たりにしろ、エルドレッドの当たりにしろ、いいところに転がってしまった。向こうの選手がついていた。また明日から頑張りたい」とドリス。白星目前でのまさかの乱調。計算外の展開が悔やまれたが、指揮官は右腕を責めなかった。
「3点差でドリスでね、勝てなかったのは残念ですけどね。でも、そこから負けなかったというのはね、僕はそっちの方を評価したいですね」
目を向けたのは、悪い流れを断ち切った奮闘だ。岩崎が2回を無失点に抑え、延長十二回の1死三塁の好機を生かせなかった直後の展開でも、高橋、松田が無失点にしのいで引き分けに持ち込んだ。広島の強力打線が相手であり、真っ赤に染まった厳しいアウェーという環境で、次につながるものを見せてくれた。
「普通はあそこで、ドリスが一気にひっくり返されるか、延長入ってもサヨナラ食らうかというパターンをここではよく見るけどね。このスタジアムのカープの勝率を考えればね、3連戦はよくやったなというのが正直な感想ですね」
首位・広島の背中が遠ざかったのは事実。優勝を考えれば厳しい状況だが、スタイルは変わらない。勝てなかった現実と、負けなかった意地を受け止め、上を見て戦っていく。