遼馬が救った!秋山緊急降板からの無失点救援 「やることは変わらない」
「阪神4-0ヤクルト」(5日、京セラドーム大阪)
チームの危機を救う好リリーフだ。阪神は三回2死から登板した松田遼馬投手(23)が、2回1/3を2安打無失点で今季初勝利。先発の秋山拓巳投手(26)が右太ももの張りを訴え緊急降板するアクシデントで急きょマウンドへ上がり、後続を断って相手に流れを渡さなかった。今季初の2試合連続完封勝利で3連勝。6日もヤクルトに勝って、5月以来の同一カード3連戦3連勝や!
託されたバトンは手放せない。それがたとえ思わぬ形で巡って来たものであっても。右太ももの張りを訴えた先発・秋山の降板を受けて急きょ、登ったマウンド。緊急リリーフを託された松田が、救世主と呼ぶにふさわしいピッチングでツバメ斬り。完封リレーへの勢いを加速させた。
漂う重苦しい雰囲気は己の右腕で振り払った。いきなり告げられた出番は2点リードで迎えた三回2死一塁。2番手で登板し、まずは打席に迎えた山崎を高め直球で右飛に打ち取る。続く四回には2死二、三塁のピンチを招いたが、中村を遊飛に封じ脱出。五回はきっちり3人で片付けて任務完了だ。
「マウンドに上がればやることは変わらないので」。冷静に振り返った37球で2回1/3を2安打無失点。流れを手放しかねない状況から手にした今季初勝利は、昨年8月21日の巨人戦以来となる白星となった。
モチベーションを上げる吉報が届いた。母校・波佐見が長崎大会を制し、7日に開幕する今夏の甲子園切符をつかんだ。松田自身も3年春のセンバツに出場。今はタテジマのユニホームを身にまとい本拠地として戦う聖地で、後輩が暴れ回ることになった。
「後輩たちは(自分の活躍を)見ていないと思いますが、僕自身は励みになっています」。松田自身は3年夏の長崎大会で初戦敗退。高校最後の夏に味わった悔しさは、プロで生き抜く今につながっている。
秋山の緊急降板を受けて松田を起用した理由は、すぐに肩を作れること。金本監督は「一番、早くできるから、肩が。まあそこは香田コーチがすぐに松田と言ってくれたので」と説明。さらに、「途中からいきなりで、よく抑えてくれました」とたたえた。
これまで幾度となく勝利を運んできた盤石のリリーフ陣。「その中に僕も加われるように、明日からもしっかり頑張っていきたいと思います」。お立ち台に上がった松田が胸にする思いを口にする。これでチームは3日の広島戦延長十回から21イニング連続無失点。猛虎の窮地を救った右腕の姿こそが真夏の反攻への合図だ。