俊介プロ初4安打「つなぐ意識だけ」母校・広陵後輩に勇気届けた

 「阪神6-5ヤクルト」(6日、京セラドーム大阪)

 喜びは最後まで控え目だった。6試合ぶりのスタメン出場で、阪神・俊介外野手(29)がプロ初の4安打、1打点と大活躍。伊藤隼の代打逆転3ランに殊勲は譲ったが、堂々勝利の立役者だ。「うれしい。それだけです」。見てるか、後輩。お立ち台に上がった29歳は、かみしめるように短い言葉を紡いだ。

 左中間を破る二塁打、右翼フェンス直撃二塁打に続き、五回は1死三塁で左前適時打を放った。今季3度目の猛打賞。十分な活躍だが、何より喜んだのは4打席目。つなぎの一打だ。1点ビハインドで迎えた七回、1死一塁で打席が巡った。

 マウンドには右腕・石山。初球を狙う。145キロの外角球に逆らわず、打球は瞬く間に一、二塁間を抜けた。逆転を導いた一本だ。「勝利につながった打席なので。右投手から打てたのは自信になりますね」。左腕・石川用の先発出場。右投手にはここまで打率・216と苦しんでいた。

 求めるのは定位置奪取。一歩前進する一打には、1番としての好データもあった。先頭を任された今季6試合は、26打数12安打で打率・462、1本塁打と好成績を残す。「つなぐ意識だけ。それが今の結果につながっていると思う」。常に1打席勝負。がむしゃらな姿勢が白球に宿る。

 この日、甲子園球場では母校の広陵が、選手権大会開幕前のリハーサルを行っていた。広島大会優勝後には、恩師・中井監督に激励電話をかけた。「僕も頑張りますので、頑張ってください」。高校1年生の夏、初めて踏んだ聖地に心が震えた。あれから十数年。今でも忘れぬ原点だ。

 「僕が頑張っている姿を見せることが、後輩に勇気を与えることになる」。母校の名前を聞く度に使命を再確認する。同校の大先輩でもある金本監督は「何かあったんですか」と笑い、続く言葉に願いを込めた。「これで終わらないようにしてほしい」。1番・俊介。暑い夏に輝きを放つ。

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