鳥谷、延長V撃 連日の猛打賞で4連勝決めた
「中日2-3阪神」(20日、ナゴヤドーム)
阪神が延長戦を制し、4連勝。拙攻続きの展開の中、最後に勝負を決めたのは鳥谷敬内野手(36)だ。2-2で迎えた延長十一回、2死二、三塁から左前へ決勝打を放った。第2、4打席では二塁打をマーク。2試合連続今季5度目の猛打賞で、通算2000安打へあと「14」とした。チームは延長戦6連勝で、貯金を今季最多タイの12とした。
鳥谷が決めた。ただひたすら勝利を信じ、声をからす虎党の存在が絶好調男に力を与えた。森越が、糸井が、福留が紡いだ勝ち越しのビッグチャンス。燃えないはずがない。内なる闘志を両腕に込め、白球を鮮やかに打ち返した。
「チャンスだったので、なんとか積極的にいきたいなというのがいい結果につながったと思います」
2-2で迎えた延長十一回2死二、三塁。岩瀬の初球だった。右肩の開きをグッと止め、逆らわず左前へはじき返した。三走・森越が決勝のホームへ生還すると、黄色に揺れる左翼席はお祭り騒ぎ。「なんとか勝ちたいという試合だったので」。36歳は一塁上で激しく手をたたき、珍しく感情を解き放った。
金本監督も「ベテランが大仕事をしてくれましたね」と最大級の賛辞を送る。毎回のように得点圏に走者を進めるが、三回以降はゼロ行進が続いていた。「普通の決勝点とは違うわね。拙攻の中のね。今日はこういう日なのかな、という中で打ってくれたのがうれしかったですね」。文字通り、殊勲打だった。
さらに、この日は2本の二塁打を放つなど2戦連続の猛打賞。通算133度目の3安打固め打ちで、柴田勲らに並ぶセ・リーグ22位タイとなった。8月に入り、打率・413と上昇の一途をたどっている。「もともと夏は、暑いのが好きなので」。節目への挑戦も、一気に加速している。
通算2000安打まで、残り「14」。歴史的偉業へ、その瞬間は刻々と迫る。球団スタッフも「東京での達成も視野に、準備を進めていかないといけません」と万全を期す構えだ。22日からヤクルト戦(神宮)、巨人戦(東京ドーム)と長期ロード最後の6連戦。そこで一気に決める可能性も浮上してきた。
「一日でも早く達成できるように、頑張りたいと思います」
プロ14年目のベテランは、ヒーローインタビューで約束した。チームと共に、名球会への道を歩む。どん欲に、勝利を追い求めて。