鳥谷 先制打で2000安打あと9本 金本監督「甲子園で達成してほしい」
「阪神3-0ヤクルト」(29日、甲子園球場)
力強く叩きつけた打球が石川の頭上を越えた。約1カ月ぶりに帰ってきた聖地が、阪神・鳥谷の偉業を“後押し”するようにボールを強く弾ませた。きれいに二遊間を破る先制の適時打。通算2000安打へあと9と迫る一打に、猛虎の帰りを待ちわびた甲子園のファンがうねりを上げた。
「永遠に真っすぐを狙っている」と語った二回1死二塁で迎えた第1打席。「積極的に」と初球から果敢に仕掛けた。完璧に捉えた打球ではなかったが、思い切って振り抜いたからこそ、ボールの勢いは失われることなく中前に抜けた。
「そのあとも点につながったんでよかったです」と、続く北條の適時三塁打では一塁から長駆ホームイン。プロ初勝利を目指した小野を力強く援護し、自身にとっても3試合ぶりの安打。片岡打撃コーチは「2試合、ヒットが出ていなかった中でポンと出たのはよかった」と目を細める。
プロ入り最大のスランプに陥った昨年、8月中旬以降はスタメンから外れてベンチで出番をうかがう試合が続いた。そんな中、鳥谷はある決断をした。開幕から飛距離をアップさせるために、トップバランスに重心を置いたバットを使っていたが、以前に使っていた相棒に戻した。
新たな挑戦に区切りをつけ、自らが培ってきたスタイルの大切さを理解した背番号1。それが今、チーム首位打者となる打率・303をマークし、再びチームに欠かせない存在となった一つの要因だ。
大きな節目まで残り9本。金本監督は「できれば甲子園で達成させてやりたいと言いますか、達成してほしいですね」と言う。「(甲子園で勝てて)よかったです」と力を込めた鳥谷。あくまでもチームが勝つために-。その信念が、偉業達成への確かなエネルギーになる。