大山4番弾 虎新人史上初の快挙だ
「阪神9-2中日」(2日、甲子園球場)
甲子園が阪神・大山を強くするのか-。3打数1安打。たったの1本かもしれない。それでもこの一振りが、聖地の空気をガラリと変えた。流れを断ち切る“新4番”の豪快弾。
若虎は冷静だった。「あの展開で1点を取るか取らないかでは、全然違うので」。確かな力強い一撃。ベンチ前で、金本監督や仲間に迎えられると、白い歯を見せて無邪気に笑った。
2点を奪われ、4-2とされた直後の三回だ。1死で迎えた第2打席。その初球、高めに浮いた直球を迷いなく、完璧に捉えた。「点を取られた後だったので、出塁することを考えて積極的に打ちにいったことがいい結果につながってくれた」。沸き立つ聖地。立ち上がる虎党。大歓声を切り裂くように、打球は左翼ポール際へと消えていった。
8月22日のヤクルト戦以来10試合ぶり、しかも4番として初の一発。金本監督は「2試合続けて4番で打点を挙げて、チャンスでも平常心でいける。大したもんだと思いますよ」と目を細める。阪神では2リーグ分立後、ルーキーの4番本塁打は初めて。わずか2試合目にして、その快挙を成し遂げた。
順風満帆なプロデビューではなかった。6月23日・広島戦。初打席はマツダスタジアムで迎え、その後はナゴヤドーム。そこまで快音なし。焦りが生じていた。そんな中、甲子園に帰ってきて、出場5試合目だった。
「なんでかしらないけど、マツダの時は浮足立ってたというかふわふわしてた。でもなぜか甲子園だとそういうのはなかったですね。落ち着いてできた」。聖地の空気が大山に合うのか。初安打が、決勝の3ランになる奇跡を起こしたのだ。
まだ2試合。新時代幕開けか-というのは早すぎるかもしれない。それでも本拠地で打ち上げる花火は、とてもきれいで、いつも衝撃を残す。未来を切り開け、大山悠輔。甲子園が強く、そして大きく成長させる。
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