坂本、仰天の今季1号3ランで5連勝 甲子園5年ぶり4発呼んだ

 「阪神9-2中日」(2日、甲子園球場)

 甲子園に鮮やかな花火が乱れ飛んだ。先陣を切ったのは阪神の2年目、坂本誠志郎捕手(23)だ。1-0の二回、左翼へ自身通算2本目となる今季1号3ラン。この一発を合図に、三回に大山悠輔内野手(22)、七回に福留孝介外野手(40)、八回に中谷将大外野手(24)がスタンドに白球を放り込んだ。甲子園での1試合4発は5年ぶり。チームは今季2度目の5連勝。この勢いで鯉をのみ込む。

 悔しい思いを胸に、プレーし続けている。そんな反骨心が生み出した大活躍。坂本の心は少しだけ晴れた。初の聖地弾は今季1号3ラン。初めての光景が広がるダイヤモンド一周に「緊張してあんまり覚えてない」。初の猛打賞となる3安打、そして自己最多の4打点。リード面に加え、バットで勝利に貢献した。

 1-0の二回1死一、二塁。内角の直球を完璧に捉えた。角度よく上がった打球は左翼スタンドへ一直線。「次の1点が早く欲しかったし、甘い球がきたらいこうと思っていた」。白球がフェンスを越えると、虎党の大歓声に包まれた。

 指揮官も仰天した。「正直、ホームランは期待していなかったけどうまいこと打ってくれて、あれは大きかった」と金本監督。持ち味である堅実な守備が売りだけに、いい意味で期待を裏切る打席となった。

 昨年の秋季キャンプから始まった捕手のレギュラー争い。アピールするべく、基本のキャッチボールから工夫を施した。テークバックの形を取る際「割れ」を作るため、一度右肘を内側に戻してトップを作る。「調子いいんです、これが」。打撃も含め順調だった矢先、開幕前に試練が訪れた。

 右手親指への死球-。3月7日教育リーグ・オリックス戦でのアクシデント。骨折と診断され、開幕メンバーに入れなかった。「いろいろ試したいことがあったのに」。試合に出られないという葛藤との闘いだった。それでもリハビリ期間をともに過ごしたある2軍トレーナーは言う。

 「あいつは後ろ向きになる性格じゃない。右手だけだったし前向きに体幹、下半身とか、できることはやっていた。力を蓄えて、パワーアップして戻るんだ、という気持ちが出ていた」

 坂本は「チャンスをもらえたら、絶対やってやろうという気持ちだった」と振り返る。根気強く諦めない。そんな姿勢がレギュラーを奪いつつある現状に行き着いている。「まだまだ試合はある。上を目指していかないと」。6戦ぶりの2桁安打の快勝にも扇の要に慢心はない。脳裏にあるのは頂点に導くことだけだ。

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