【藤田平氏の視点】鳥谷が見逃したらボールだろうと思わせた…選球眼&粘りで大台
生え抜き選手として、球団史上2人目の通算2000安打を達成した阪神・鳥谷敬内野手(36)。先駆者として球団史に名を刻んだ藤田平氏(69)=デイリースポーツ評論家=が、同じ遊撃を主戦場とした後輩を祝福すると同時に、プロ14年目で節目の数字に到達した要因を独自の視点で分析した。
◇ ◇
2000本という数字を達成するまでに紆余(うよ)曲折あったと思う。ここがゴールではないけど、まずはおめでとうだね。
入団当時から左方向に打つ技術は高かった。これは左打者が打率を残すために一番大事なポイント。鳥谷はそれが最初からできていた。
ただ、左肘が体の前でうまく使えてなかった。スイングする流れで、左腹の辺りで左肘が止まっていたんだよね。バットが後ろから出てこないと言った方が分かりやすいかな。でも、年数を重ねるごとに左肘の使い方を覚えていったよね。
鳥谷が2000安打できた背景には、選球眼の良さ、ファウルで粘れることが大きな理由としてある。この2つはどちらも投手が嫌がること。ボール球を追いかけて振らず、際どいコースはカットしてファウルにする。昔のON(王貞治、長嶋茂雄)じゃないけど、鳥谷が見逃したんだからボールだろうと球審に思わせるだけの実績を積み上げたのも大きい。安打にできる確率の高いボールだけをスイングしたからこそ、14年で大台に到達することができた。
不振に苦しんだ昨年は、引っ張る-という意識が強すぎて打撃全体が崩れていったけど、今年は一昨年までの意識で打席に入れているから、必然の結果として打率が残せている。今後も自分のペースで調整していけばいい。(デイリースポーツ評論家)