安藤引退 03年Vと同じ日に…トラ一筋16年 タテジマに別れ

 現役引退を発表し涙ながらに会見する安藤
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 阪神・安藤優也投手(39)が15日、西宮市内のホテルで引退会見を行った。今季は開幕から2軍生活が続いた中、体力的な衰えや1軍の戦力として戦えていないことから、12日に引退を決断。会見では、涙を流しながら阪神一筋16年のプロ野球人生を振り返った。今後は未定だが、2度のリーグ優勝に貢献したベテランが、タテジマに別れを告げて、新たな道へと進む。

 もう、だめかもしれない。何度も諦めかけて、その度に這(は)い上がってきた。長かった16年を振り返り、言葉につまる。「本当にいろいろなことがあった16年でした」。決壊した涙腺。安藤は何度もユニホームで拭った。愛し続けたタテジマに、涙がにじんだ。

 「いい思い出というよりは、どちらかと言うと悪い思い出の方が記憶に残っていると思うので。そういう苦い思い出とか、苦しい時の思い出をバネにしてやってきたタイプかなとは思いますね」

 12日に引退を決断した。ここまで2度のリーグ優勝、アテネ五輪の銅メダル、3年連続開幕投手…華々しく映る過去はしかし、すべてを照らすものではない。「(引退で)肩の荷が下りたというか体の心配をしなくていいんだなって。一番はホッとした気持ちです」。浴びた光より、苦労の影を感じ続けたプロ野球人生だった。

 「肩のケガをして半年間ぐらい投げられなかったので。その時は、今思うとかなりしんどかったなと思うし」

 記憶を掘り起こしたのは2010年シーズン途中の右肩故障。その影響もあり、翌年は1試合の登板に終わって未勝利に。そこから、12年4月5日まで2年近くにわたり白星から遠ざかった苦難の時期。身も心もボロボロの時だった。

 入院先の病院では、ストレスから背中にこぶし大の湿疹が広がった。何かにすがりたくて、知人に紹介された占い師には「もう辞めた方がいい」と言われた。今では「そんなこともあったな」という笑い話。逆風に耐え、それを糧にここまで走ってきた。そんな日々にも、別れを告げる。

 偶然にも、あの時と同じ日付の引退会見。「2回の優勝の経験があったから、ここまでこれたっていうのもありますんで」。その1度目、18年ぶりのリーグ優勝は14年前の9月15日だった。リーグ制覇、日本一を目指した刺激的な毎日。今も忘れていない。

 「後輩たちにはぜひ日本一になってもらいたいと思ってます」。思いは託す。自身の今後は未定だが阪神への愛情はずっと変わらない。甲子園と、ファンと共に夢を追った日々。本当に幸せだった。

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