阪神・四藤慶一郎球団社長（５６）が２２日、西宮市内の球団事務所で取材に応じ、早実・清宮幸太郎内野手（３年）のドラフト１位指名を表明した。四藤社長の会見前には、東京へ移動中の金本知憲監督（４９）も取材に応じ、清宮の打者としての能力に太鼓判を押し、高く評価。複数球団の競合が必至の中、指揮官自らクジを引くもよう。自ら引き当て、清宮の夢を共に歩む覚悟の指名だ。

　いち早く明かされたラブコールが、清宮への強い思いの表れだ。１位指名は球団の総意であり、当然、金本監督の構想を踏まえてのもの。四藤社長が「１位で指名させてもらう」と公表した会見より前に報道陣に対応したため、指名に関しては「変な言い方だけどうちも多分いくだろうしね」と話すにとどめていたが、清宮への評価、印象を語る口調は、熱を帯びていた。

　「興味はあるね、同じ野球人として。どれぐらいやるんだろうかというね。（能力的に）センスがね、やっぱり。木のバットでもあれだけ飛ばすしね。なかなかいないから」

　球団としてほれ込む逸材だ。「（前提として）スイングが速いものとして見ているからね。次元が違うところで見てるから。『１００本以上打っている清宮』じゃなしに、知名度も知らずに見たら、そりゃビックリするやろうね」。高校３年間で示してきた実力に疑いはない。

　清宮は以前から抱く将来的なメジャー挑戦の夢を改めて口にしたが、「いいんじゃない、それは」と「容認」の姿勢。その上で「ずっと日本にいて何百本打つかとかも興味あるけどね。王さんにどれぐらい近づけるんだろうかとか」と続けた。偶然にも清宮が会見で王貞治氏を目標と話したように、理想像は自然と重なっていた。

　実力はもちろん、スター性もあるだけに、複数球団との競合は避けられない。一昨年、監督就任直後のドラフトで高山を抽選で引き当てているが、今回も任される方向。金本監督も「くじぐらいは引くけどさあ、別に、全然（笑）」とさらり。１０月２６日のドラフト会議まで１カ月以上あるが、阪神ファンとも言われる逸材との赤い糸を信じ、大役を務める覚悟だ。

　「（左打者の）彼にとっては（甲子園は）不利だろうね。経験者が言うから間違いないよ」と金本監督。笑みを浮かべて話したが、甲子園を沸かせたスターだからこそ、プロでも聖地で暴れてほしい。大打者を目指す清宮の夢に手を差し伸べ、共に歩む。金本監督の決意でもある１位指名だ。