小野粘投2勝 CSへの課題は制球…6四球「反省しないと」
「ヤクルト1-8阪神」(23日、神宮球場)
マウンド上の阪神・小野泰己投手(23)は、苦しんでいた。滴る汗を拭いながらの投球。5回で球数は101球に達していた。自身最多タイの6四球で、再三のピンチを背負った。それでも、4点のリードを何とか守り切った。粘って、粘って手にした2勝目だ。
台風18号の影響で、中13日で臨んだマウンドだった。最大のヤマ場は、両軍無得点で迎えた三回。連打と四球で、1死満塁のピンチ。ここで藤井を内角直球で見逃し三振、バレンティンは変化球で二飛に打ち取った。強い気持ちで攻め切った。
五回にも2死二塁からバレンティン、山田に連続四球を与え、満塁とした。続く坂口を空振り三振に斬って取った。「2勝目ができてよかった。でも、内容はよくなかったので、しっかり反省してやっていきたい」。課題が残った投球に笑みはなかった。
念願のプロ初勝利から2試合目。小野にとって神宮は鬼門だった。今季2度マウンドに上がり、8失点。防御率は9・39と相性はよくなかった。そんな神宮で5回を投げて、3安打無失点。いい流れでリリーフ陣にバトンをつないだ。
初登板が決まった日。うれしさや不安、怖さ…。いろいろな感情に支配されそうになった。それでも「1軍の雰囲気を自分で感じたい」と思い、周りに意見は求めなかったという。それから4カ月。苦しい思いも、うれしい思いもたくさん経験した。
CSへ向け、可能性を残した。香田投手コーチは「(第2先発も含めて)いろいろ考えるところもあります」と説明。小野は「そういう場面で投げられれば、言われた役割を考えて、投げていけたらいい」と前を向いた。23歳の右腕がプロの世界の厳しさを乗り越え、また一つ強くなろうとしている。