CSファーストS…VS巨人なら金本阪神「7番・秋山」も一計
「セイバーメトリクスで占う鳥越規央の傾向と対策」
甲子園でCS争いの当面のライバルDeNAに2戦連続完封負けを喫してしまったタイガース。ですが、現在2位確定マジック4が点灯しています。つまり、27日から横浜スタジアムで行われるDeNA3連戦において、2勝1敗で2位が確定し、CSファーストS甲子園開催となります。ハマスタでは7勝2敗と大きく勝ち越し、対戦予定の井納には3勝1敗、石田には2勝0敗と相性の良さを見せています。なので、この3連戦で2位が確保できる公算は大きいと踏んでいます。
ただ気がかりなデータがあります。それは、甲子園での対DeNAが6勝7敗、対巨人が3勝7敗というもの。しかし大勢のファンの後押しがあり、そして何より営業的にも魅力的な地元開催は是が非でも手に入れて欲しいところです。
ファーストSではDeNAもしくは巨人との対戦になります。DeNAとの対戦になった場合、防御率4・74、被打率・293の秋山はあえて使わず、相性の良い岩田や能見をあて、打撃陣では対DeNAのOPSが0・9超えの糸井、鳥谷、中谷、坂本を上位に固めて、ステージクリアを目指しましょう。
万が一、巨人との対戦になった場合は、QS率100%、WHIP0・96の秋山で先勝を狙いたいところです。その際に実行していただきたい作戦があります。それは「7番・秋山」です。今季タイガースの巨人戦打率が・234、OPS・622とセ・リーグの中で最も打てない相手でした。対巨人の打撃成績が打率・286、OPS・714と、捕手陣より数字を残している秋山の打撃を生かすのも一計ではないでしょうか。8番・捕手、9番・大和、そして上位に巨人と相性の良い上本、福留を配置した、下位から上位へのつながりを意識した打線にするのです。
短期決戦では、調子の良い打者にいかに多くの打席を回すかで勝負が決まります。また下位がチャンスを作れば相手投手に与える心理的影響はかなり大きいもの。そこで調子の良い1、2番に回れば得点機会は拡大することでしょう。
今季3勝8敗(1分け)と相性の悪いマツダスタジアムに乗り込んでのファイナルSでも、ぜひ実行をお願いします。
◇ ◇
※OPS 出塁率と長打率を足し合わせた指標。0・8を超えると主軸級、0・9を超えるとオールスター級、1を超えると球界を代表する一流打者と評価される。
◇ ◇
鳥越規央(とりごえ・のりお)統計学者。大分県中津市出身、1969年生まれ。野球統計学(セイバーメトリクス)を駆使した著書は『本当は強い阪神タイガース』(筑摩書房)『スポーツを10倍楽しむ統計学』(化学同人)など多数。所属学会はアメリカ野球学会、日本統計学会など。JAPAN MENSA会員。江戸川大学客員教授。