俊介が甲子園CS呼び込んだ 猛打賞&マシソン撃ち4号
「巨人1-5阪神」(30日、東京ドーム)
右翼席に突き刺さった一撃が、3年ぶりのシーズン2位を決定づけた。割れんばかりの大歓声が、ダイヤモンドを一周する阪神・俊介に降り注いだ。プロ8年目で最高の輝きを放つ“中堅の星”がダメ押し弾を含む3安打2打点。「甲子園でやれるのは本当に良かった」と達成感をにじませた。
一回、いきなり左中間を破る二塁打で出塁し、先制点の起点を作った。続く二回2死二塁の第2打席では、変化球をうまく右前に運ぶタイムリー。貴重な追加点をたたき出すと、1点リードの七回にはマシソンが投じた153キロのストレートをこん身の力で右翼席へ突き刺した。
逆方向への一発はプロ入り後初めて。「まさか入るとは思わなかった」という一撃で宿敵の戦意を喪失させた。金本監督も「30歳にしてチャンスが少ない中、力を示してくれているので、今は欠かせない戦力になってきましたね」と目を細める。
昨季、超変革路線で出場機会が限られた。中堅選手よりも優先的に若手にチャンスが与えられるのはプロ野球界の宿命。プレーヤーとして崖っぷちに立たされる中、輝きを見いだしたのは片岡打撃コーチだった。
シーズン終了直後の秋季練習。目の色を変えてバットを振る俊介がいた。懸命に肉体改造に励む俊介がいた。年が明けてもその姿は変わらず、片岡コーチはただ黙って見つめた。そして金本監督にチャンスを与えてほしいと進言した。
「そういう機会は平等にある中で、使いたいと思わせる状態だったから」と明かした片岡コーチ。若手が軒並み調子を崩す中、決して見放さなかった中堅選手が、苦しい時期を支えた。そしてCSファーストSの本拠地開催へ導いた。「アピールしないと終わってしまうので」と俊介。その必死さこそが、金本阪神2年目の躍進に欠かせない要素だった。