上本弾でGに引導 頭部死球受けた畠から一発!金本監督称賛「今季一番かっこいい」

 「巨人4-5阪神」(1日、東京ドーム)

 金本阪神が宿敵に引導を渡した。巨人撃破へ気迫あふれる姿を見せたのは上本博紀内野手(31)だ。前日に畠から頭部に死球を受けて途中交代したが、その畠から五回に左翼席へ9号ソロ。強い気持ちで放った一撃にチームメートも呼応し、追いすがるライバルに競り勝った。敗れた巨人は4位が確定。14日に甲子園で開幕するCSファーストSで猛虎が迎え撃つ相手は、DeNAに決まった。

 覚悟を決めた。脳裏にこびりついて離れないあの残像を必死に消した。力強く踏み込み、前日、バントを試みようとした際、頭部死球を受けた畠のストレートを完璧にはじき返した上本。両手に残った確かな感触と、ボールが飛び込んだ左翼席の大歓声が、宿敵・巨人に引導を渡した。

 1点差に迫られた直後の五回だった。この回からマウンドに上がったのは9月30日の試合で頭部死球を受け、危険球退場した畠。その名前がコールされると、東京ドームには巨人ファンの歓声と阪神ファンの罵声が入り乱れた。

 あまりにも異様な空気が漂う中、上本はすべての雑念を消した。1死走者なしで迎えた第3打席の初球、甘く入ってきた直球を見逃さなかった。力強く捉えた打球は、美しい放物線を描いて左翼席へ飛び込んだ。

 CS進出に最後の望みをかけた宿敵を突き放す9号ソロ。金本監督は「今季、一番かっこいいホームランでしたね」と手放しで褒めちぎった。頭部死球から24時間もたたない中での一発。指揮官も現役時代に同様の経験はあるが「おれのはまぐれだから。あれはちゃんと踏み込んで打ってるから」と打席で気後れしなかった上本に称賛を惜しまない。

 そんな強いハートを示す一方、試合前には三塁ベンチ前に謝罪に訪れた同郷・広島の後輩を優しく迎えた。巨人・斎藤投手コーチと一緒に神妙な面持ちを浮かべる畠に「うまく避けられなくてごめんな」と声をかけたという。

 ルーキー右腕の心をすくい、ゲームでは“プロの厳しさ”を一振りで示した背番号00。七回無死二塁での第4打席は前日の凄惨なシーンを考慮して、ベンチは右打ちのサインを出した。それでも上本は自ら畠を相手にバントを敢行した。

 その姿勢と思いは「執念」といった簡単な言葉で片付けられるものではない。本拠地・甲子園で戦うCSファーストSの相手はDeNAに決まった。「相手がどこでも一緒。うちがちゃんとした野球を」と力を込めた金本監督。この日、上本が示した姿がある限り-。短期決戦を勝ち抜く力と勢いが、間違いなく虎にはある。

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