竹安、プロ初登板初勝利 3人ピシャリの快投に金本監督「ベテランのよう」
「阪神2-1中日」(5日、甲子園球場)
渇望し続けたマウンドに、ようやく上がった。七回、1-1の同点という緊迫した場面。気持ちとは裏腹に腕が振れない。1球目は置きにいった136キロの直球だった。だが、これがストライクとなった。張り詰めていた緊張の糸がふっと緩んだ。
カウント1-2とし、代打・亀沢を外に逃げるツーシームで空振り三振に仕留めた。「1アウトを取って、落ち着くことができました」と阪神・竹安。続く遠藤を左邪飛、武山を平凡な中飛に打ち取った。
その裏にチームが勝ち越し、プロ初登板初勝利が転がり込んだ。「まだ実感は湧いていないです。ただ、自分の中で3人で抑えることができたのは大きかった」と手応えをかみしめた。
1年目だった昨季、竹安は苦しんでいた。2014年12月に受けた右肘の手術の影響で、フォームのバランスが崩壊。「操り人形のよう」だったという。同期入団の高山、青柳らが1軍で活躍する中、新人で唯一、1軍に昇格することができなかった。
竹安は「自分に対する悔しさ、腹立たしさ、それしかなかったです」と当時の心境を振り返る。しかし、心が折れることはなかった。直球がナチュラルシュートする悪癖を逆手に取り、当時の久保2軍投手チーフコーチと共にツーシームの習得に励んだ。それが見事にはまり、プロ初の1軍昇格につながった。
金本監督は竹安の堂々としたマウンドさばきを高く評価。「ベテランのようなピッチングをしていましたよ」と称賛。プロ初登板初勝利については「何か持っているのかも分からないですね」とうなずいた。
悔しさをバネに勝ち取ることができた。竹安の野球に対する真っすぐな姿勢に、勝利の女神がほほ笑んだ。