メッセの男気!6回0封で阪神先勝 中3日&右足ボルト入ったままで
「セCSファーストS・第1戦、阪神2-0DeNA」(14日、甲子園球場)
重責を果たした阪神のランディ・メッセンジャー投手(36)の表情は、どこまでも穏やかで少し誇らしげだ。離脱時にチームメートや、金本監督に誓った約束のマウンドで6回3安打無失点の熱投。「失望させるわけにはいかなかったんだ」と笑う。3年前の“再現星”で突破に王手をかけた。
エースの自負、信頼があった。10日のレギュラーシーズン最終戦から、中3日で託された“開幕マウンド”。右足腓骨(ひこつ)骨折から驚異的な回復を見せると、金本監督との話し合いで初戦登板を直訴した。「できればトップでいきたいんだ」。エースの熱い思いを指揮官も信じた。
「魂というか、それを僕は一番、買いたかった。誰も文句を言う選手はいないでしょ」
それぞれの思いは白球に宿った。初回、先頭の桑原に対して、この日最速の152キロを投じた。最後はカーブで三ゴロに。続く柴田には中前打を浴びたが、ロペスを左飛に、筒香を一ゴロに抑えて波に乗った。六回までわずか3安打の投球。「全体的によかった」と、DeNA打線に二塁すら踏ませなかった。
8月10日の巨人戦で右足を骨折。医師の診断でも今季絶望と言われた中で、右腕だけは望みを失っていなかった。翌11日。チームを離れる前に全選手に誓った。「CS、日本シリーズを目指してほしい。必ず戻ってくる」。手術でボルトを埋め込んだ足の骨は、完全にくっついているわけではない。それでも、投げた。そして勝った。
「帰ってくると約束したから、帰ってこられてよかったよ。皆が信じてくれた。恩返しができてよかったよ」
2014年10月11日。当時3位だった広島とファーストS初戦を戦い、メッセンジャーは8回を無失点と好投した。福留が同じく六回に決勝弾を放ち、その勢いで日本シリーズに進出。当時の記憶がよみがえる。「今度こそ、日本一になりたいんだ」。次回は中4日で19日のCSファイナルS第2戦に備える。戦いはまだ、終わらない。