盗塁阻止率セ2位、梅野飛躍的上昇の要因
独自の視点からプレーの深層に迫る「虎目線」-。今季自己最多の90試合にスタメン出場し、セ・リーグの盗塁阻止率2位の・379をマークした阪神の梅野隆太郎捕手(26)にスポットを当てる。過去3年で2割台だった盗塁阻止率は飛躍的に上昇。その要因に春季キャンプから意識付けていた取り組みがあった。
梅野の守備に何度も救われた。ピンチの芽を摘む「肩」がなければ、金本阪神の2位躍進はなかったかもしれない。自己最高、セ・リーグ2位の盗塁阻止率・379をマーク。開幕カードからスタメンを任され、自己最多90試合に先発出場して存在感を放ってきた。
正捕手不在-。虎が抱える長年の課題だ。だが、ようやく光が見えた。梅野は過去3年、盗塁阻止率2割台。昨オフから続いた正捕手争いを制するには、弱点を克服することが必至だった。
2月の春季キャンプ。岡崎、原口、坂本らとバトルが始まった。その中で梅野は違いを見せた。盗塁阻止練習で細かい意識を置いていた。捕手は投手に正対して構えるポジション。それでも、二塁へ投げ終わった後は右肩が二塁方向へ向き、体の正面は三塁ベンチ側へと向いていた。他の選手と比べても、送球の力強さは明らかに違っていた。
「あれはしっかり腕を振ろうと思ってたら、自然とそう(右肩が前に)なった。止まって動く、っていう動作だから、微妙に足で動いて勢いを付ける意識付けをしていた」。静から動。動きながらのプレーが難しい捕手だが、投球を捕る直前に、下半身で勢いを付けることが重要だと再認識した。
キャンプの間はそれを極端に意識し、体に動作を染み込ませた。この意識の変化が実戦での結果につながった。シーズン序盤では、機動力野球を展開してくる王者・広島相手に怖さを植え付けた。簡単に次の塁へ進ませない。走者を自由にさせなかった。
配球でも工夫してきた。盗塁を警戒する場面でウエストはしないが、送球しやすいようにあえてボール球を要求したという。「投手には申し訳ないけど」と言うが、捕手としてできることはしてきた。来季も“梅ちゃんバズーカ”で、正捕手完全奪取を狙う。