糸井 独白、来季は優勝! 虎1年目「最悪のシーズンだった」…逆襲誓う
独占激白-。阪神の糸井嘉男外野手(36)が15日、デイリースポーツの単独インタビューに応じた。10月17日にCSファーストS・DeNA戦で敗退してから約1カ月。金本知憲監督(49)から口説かれ、FA選手として戦った1年を「最悪のシーズンだった」と、初めて自らの口で振り返った。口をつくのは反省の言葉。移籍2年目の来季にかける思いを存分に語り尽くした。
◇ ◇
-FA移籍初年度。金本監督から「初めての恋人」と口説かれ、入団した1年目を振り返って。
「金本監督を胴上げする、したいと思って阪神に入ったんですけど。1年目なのでいろいろと、自分の中でも葛藤がありました。(開幕から)出だしは良かったんですけど、ケガで始まったシーズン。キャンプやってないツケが、ガタガタときたなという思いはありました」
-キャンプ前に右膝の関節炎を発症。開幕には間に合わせたが、別メニュー調整からのスタートだった。
「開幕してすぐ…5月くらいですかね。足にすごく疲れを感じて。思うようにいかなかったのが、正直な気持ちです。シーズンは2位だったので本当に残念でしたね」
-「葛藤」には良い、悪いの両面がある。
「やっぱり人気球団ですから。絶対に活躍して、全員を認めさせたいという気持ちで臨んだんですけど。(達成感は)半分半分ですね。でも、悔しい、ふがいないという思いが強いですかね」
-個人成績だけを見たら、114試合の出場で17本塁打、62打点、打率・290。十分な数字でもある。
「個人成績で言えば過去2番目に悪いですし、何より抹消されていますからね。(その期間の)1カ月プラス、ケガが2回。フルで試合に出なくて代打もありましたから。1カ月半くらいは戦線から離脱していました。やっぱり1年間、戦いたかった。それが一番、ふがいないです。過去、1、2くらい最悪なシーズンだったと思います。成績も含めて試合に出られなかったので。ただ、これでMAX出てたら…というのもありましたけどね」
-甲子園で広島の胴上げを見届けた。ベンチでそのシーンを眺める姿が印象的だった。
「2位で終わったシーズンでしたが、1位には大きく離されました。すごく差を感じたというか。優勝を逃した、胴上げされている姿をちゃんと見てね。絶対に来年、あそこで監督を胴上げするんだと、そういう気持ちになりましたね」
-そういう姿を胸に刻んでおきたかった。
「そうですね。ちゃんと見ておこうとは思いましたね。(中継の)ヘリコプターが来てたでしょ。なんやあれって、その方が気になりました(笑)」
-来季、個人成績での目標は。
「監督の笑顔をたくさん見る、ですね。優勝するということです。個人的にはキャリアハイを目指したいし、何かで一番になりたい。もちろん、全試合出場するというのは、本当に大前提ですね。FAで来ているわけですから。今年は114試合。代打での出場もあった。悔しかったので。そこは大前提として準備していきたい」
-痛めていた膝、脇腹などの現在の状態は。
「もうだいぶいいですよ。いい体で春のキャンプに入りたいですから」
-「阪神タイガース」という球団に来て戦った1年。振り返ってみて率直な感想は。
「小さいころから応援していた球団ですし、憧れみたいなものもあったチーム。注目度、期待度はやっぱり違いましたね。あと、お客さんも結構、野球に詳しいので。プレッシャーはそれなりにありましたね。1年目ですから。最後にでも、やりがいをすごく感じたし、楽しく感じる部分も多かったです」
-セ・パのリーグで違いは感じたか。
「セ・リーグ、パ・リーグというか、初対戦の投手が結構いましたから。そういう面では慣れるしかない。どういう軌道の球を投げるとか、イメージが湧かない投手は多かったですね」
-盗塁に関してもそうか。
「盗塁はやっぱり膝(痛)とか、そういうのを抱えていたので。あえて走らなかったり、少し制御はしていました。なので…来年は、イチ(盗塁王)目指します!!」
-本拠地としてプレーした甲子園の印象は。
「やっぱり今までドーム球場の本拠地が多かったですからね。風とか、屋外の方が空中で軌道が変わったり。甲子園は風も強いので、難しさはありましたね。いたずらしてくる。浜風は打つ方でも守る方でも強敵でしたね」
-ただ、1年間経験したことで、来年に生きてくるものがある。
「それは、そうですね。オリックスに移籍した時もそうでした。いろんな人との触れ合いから、その球団の特徴とかを知るのに、気を使ったりもするので。でも、やるのは野球。初めて経験することで、楽しいこともたくさんありました」
-とはいえ膝の不安を抱えながら開幕から好スタートを切った。
「正直、すごく不安で。自分の中では膝が間に合うか、間に合わないかというのがあったので。かなり不安はありました。フルで出られるかとか正直、不安はあったんですけど。アドレナリンでいきましたけどね」
-交流戦中に左太ももを痛め、7月には右脇腹を負傷した。このあたりがキャンプの“ツケ”ということか。
「あれは本当にふがいなかったですね。太もも(痛)もありましたから。キャンプでやりたいことができなかったというのが大きかったです。走れなかったのがね。でも、脇腹を痛めて2軍に行った時はリハビリも大事ですけど、もう一回走り込もうと思って。タイヤ引きだったり、走る量を増やして調整しました」
-そういう部分で見えてきたものもある。
「やっぱり足が疲れてきたのを感じたので、そういうのをリハビリ期間でやりました。でも、ケガで離脱したというのが僕の中で大きくて、最悪でしたね」
-右脇腹の負傷直後も出場を志願。最後までチームを離れたくないと、離脱を嫌った。
「本音はですね。脇腹を痛めながら出続けたシーズンもあったので、いけるかなという思いもありました。でも、かばいながらで。監督も『しっかりと治して、ちゃんとやってこい』と言われて。それは素直に(聞き入れて)ね。戦力になれない悔しさがすごくありましたけど、監督がそうやって言ってくれたので専念できました」
(続けて)
「監督は痛めても試合に出続けた人なので、やれと言われるのかなと思ったんですけど。意外と逆で。治してこいと言われたので、そこは素直に治そうと思いましたね」
-チームの話に移すと、2位にはなったが、広島に連覇を許したシーズンだった。
「やっぱりスキがなかったですね。大事な1点を、代走の人が走って(取る)とか。いい打線。つながりますよね。投手もそろっていますし。でもやっぱり1、2番、クリーンアップもしっかりしていましたし、若い選手もきっちりした野球をしてくる。スキがない野球に見えました」
-来季は勝っていかないといけない。
「そうですね。頂点に立つためには、広島に勝たないと絶対になれないですから」
-広島相手に来季、勝っていくための手応え、自信はあるか。
「しっかりとした野球をしていれば、取れた試合は何度もありました。逆に言えばそこでやられる向こうの勢いとか、最後まで諦めない気持ちとかね。特にマツダスタジアムの雰囲気はすごいので。気持ちで全てできるわけじゃないけど、やることをきちんとやってね。個々のレベルを上げていけば、絶対に勝てると思います」
-9点差を逆転した試合のように、諦めない姿勢が大事になる。
「そうですね。あの試合、自分はノーヒットだったんですけど、2打点挙げているんです(※)。ああいう点の取り方をね、どんどんやっていけば。取れる時に点を取る。そういうのをやっていけば、勝っていけると思う」
-阪神の若手選手を見て感じることは。
「練習量はすごいですよね。だから成長はすごく見て取れる。やった分だけ、自分に返ってくるんやなって。トレーニングとか振り込みとか、やっぱり若い時にやっておくのがいいと思う。どんどん結果が出ている選手も多いですよね」
-中谷、大山ら若い選手の台頭もあった。
「中谷とかはやっぱり見ていても、ホームランの弾道とか、すごいなと思いますしね。守備も身体能力が高いので、可能性を感じますね。それはトレーニングだったり、振り込む姿を見ているので、僕も。(練習を)やったヤツは、勝つんやなと思いますね」
-自身もこのオフ、かなりトレーニングしていると聞く。
「いまはでも、(体の)ケアが中心ですね。今年はケガに苦しんだ部分が大きいので。ちゃんとケアをしてね。シーズン終わって1カ月は主にケア。トレーニングもしていますけどね」
-重点的に鍛えている部分は。
「やっぱり下半身をね。いまはケア中心で激しいトレーニングはしていないですけど、下半身がヘバってしまったので。そこをちゃんと、もう一回やろうと思っています」