桑原“第2の魔球”習得宣言 NPBアワーズで危機感「僕は球種少ない」
阪神・桑原謙太朗投手(32)がセ・リーグの最優秀中継ぎ投手賞に輝き、都内のホテルで行われた「NPB AWARDS 2017 supported by リポビタンD」に出席した。来季に向けては代名詞のスライダーに次ぐ、“第2の魔球”の習得が目標の一つ。獅子奮迅の働きで2018年こそチームの優勝に貢献し、再び栄誉あるタイトルを勝ち取る。
マウンドでの表情とは一変、壇上の桑原からは緊張の色がにじみ出ていた。巨人・菅野と広島・薮田の間に立ち、プロ10年目で初めて手にした勲章を胸に刻み込む。「すごく光栄に思います」。昨季1軍戦登板ゼロに終わった右腕が、43ホールドポイントで最優秀中継ぎ投手賞。場内は割れんばかりの大きな拍手に包まれ、格別の瞬間をかみしめた。
だが、感傷に浸ったのはほんの数分だけ。球界を代表する面々に囲まれ、同時に危機感を募らせた。今季はチームトップの67試合に登板し、防御率1・51。躍進を遂げた1年を振り返り、また来季へと気持ちを傾ける。自己改革を推し進めなければ成長はできない。
「僕は球種が少ないので。この期間で何か一つ、使える球を探していきたいですね」
スリークオーターから繰り出される最速152キロの直球と、打者の手元で鋭く曲がる高速スライダー。飛躍の源となった2球種に加え、今オフは“新球”習得への道筋をつける。それがフォーク系の落ちる球か、真っすぐに近いツーシーム系の球なのかは分からない。「春のキャンプから(本格的に)取り組み始められれば」。新たな引き出しを増やすため、今は試行錯誤を繰り返している。
来シーズン2年連続で40ホールドポイント以上を獲得すれば、球団史上初の快挙。他球団を見渡しても中日・浅尾、巨人・山口、オリックス・佐藤達と3人しか達成していない偉業だ。「生きのいい若い選手も多いですし、競争に勝っていかないと」。慢心なく、ぶれない志が一流への道を作り上げる。桑原に不可能の文字はない。
「中継ぎのみんなの調子が良くて、それに引っ張られる形で結果を出すことができました。来年は、この成績にふさわしい結果を残さないといけない」
徹底的に研究されるであろう来季、求められるのは今季以上の活躍だ。「頑張って、また来たいと思います」。大車輪の活躍で虎を日本一に導き、再びタイトルも奪取する。“第2の魔球”を手に、サクセスストーリーの続きを歩んでいく。