岩田感無量…憧れのミスターから金言 「やったらいい」引退後も社会貢献
阪神・岩田稔投手(34)が7日、都内のホテルで積極的な社会貢献活動を行ってきたプロ野球選手に贈られる「ゴールデンスピリット賞」を受賞し、今後も「1型糖尿病」患者の支援継続を誓った。表彰式では長嶋茂雄読売巨人軍終身名誉監督(81)と初対面し、金言を授かった。
80歳を超えてなお、圧倒的なオーラを放つミスターからの金言に、岩田の心は躍った。「やったらいいやんと(いう意味の言葉を)言ってもらえました」。長嶋氏の思いが、心に響いた。
岩田にとって、長嶋氏はプロ野球人気を作り上げた一人の偉人という存在だけではない。「巨人ファンだったので。子供の頃、巨人戦をずっとテレビで見ていて、そのミスターが自分の横で…」と熱っぽく話すその表情からは、多大な尊敬の念があふれ出ていた。
長嶋氏からもらった言葉には、2つの意味があると岩田は考える。1つは「野球の成績」の向上を目指すこと。もう1つは「こういう活動は現役を終わってからも続けていけよ、という意味だと思うんで」。同じ病に苦しむ人たちの、ヒーローであり続けることを誓った。
岩田は大阪桐蔭高2年時に「1型糖尿病」を発症。現在もインスリン注射を打ちながらプロの世界で勝負の日々を送る。プロ入り3年目の2008年からは、同じ病気と闘う人たちへの支援を始めた。その継続的な活動が認められ、この日の受賞につながった。
毎年1勝につき10万円を「1型糖尿病基金」に寄付しているほか、1型糖尿病患者との交流会も定期的に実施。岩田は「(患者の)子供たちはすごいいい顔をしているんですよね。その笑顔を見ると、もっと頑張ろうと思える」と逆に勇気づけられていることを明かした。
表彰式では岩田本人が中心となって活動する「岩田稔基金」の新設も発表された。「プロでは僕しか1型糖尿病患者はいないですし、絶対に崩れられない」。プロ野球の象徴であり続けた長嶋氏と同じく、岩田も「1型糖尿病」患者の代表として、希望の光をともし続ける。