坂井オーナーインタビュー 3年目も金本監督の改革を全面的に信頼
阪神・坂井信也オーナー(69)がこのほど、大阪市内の電鉄本社でデイリースポーツの取材に応じ、就任2年目で2位となった金本知憲監督(49)の手腕を高く評価すると同時に、3年目以降に向けた全面的な信頼を口にした。昨年の4位からの2位という順位のみならず、変革を遂げるチームの方向性にも手応えを感じており、来季もチームをバックアップしていく。
-今年の戦いを振り返って。
「よくやったと思います。印象に残っているゲームは多く、岡崎君がサヨナラヒットを打ったゲーム(6月4日・日本ハム戦)、9点差を逆転したゲーム(5月6日・広島戦)は印象に残っている。謙虚に言えば、少しラッキーな面があったと。中堅選手の活躍で勝てた試合が、割と印象があります」
-チームとしての成長を感じられる部分は多かった?
「首脳陣が1年目とは違って、経験の積み重ねがあって落ち着いた采配が目立った。勝利の方程式の後ろの3人を確定させたことが大きいし、投手交代とかもうまく判断していたと思う。誰がどう活躍したとかではなく、総合力ですね。全員の力が合わさった2位ですね。もちろん足りないところもあったけれども、総じて言うと、よくやったというシーズンだったと思います」
-ここ2年、金本監督は積極的に多くの若手を登用した。3年目に期待する部分は。
「金本監督に期待したことの一つは、タイガースにある悪いところを払しょくしてもらいたいということ。新しい考え方でやってもらいたいと思い、就任していただいた。若手の鍛え方、練習の仕方とか、すべてを根本から変えてもらっている。私も少しついていけなくて、そんなことをしていいのかなと思うこともありましたが、今では全面的に信頼しています。選手起用法や選手の見方とか、着目ポイントが本当に違う。いろいろな経験を積んで、試合の戦い方、選手把握の方法、投手の見方、打者の見方などを、着実に身に付けていっているように見えます」
-プロ野球は勝つことが求められる。選手育成は長期的なビジョンが必要。短期的、長期的なバランスはタイガース独特ではないが、難しい部分も。
「そこを別々に考えると、非常に難しいですね。両立するかと言えば両立しないでしょう。答えにはなりませんが、次のようなことを考えています。「勝つこと」で必要なことと言えば、最低限でも優勝争いができる戦力が構築できていることと思っています。そして優勝し、これを継続するためには、これらに加えて若手の成長が必要で、これが「育てる」を担う部分と解釈し、シーズンを戦っていけるかということでしょう。これらがうまくバランスが取れ、循環していけるのが本当に強いチームです。阪神は残念ながら(巨人もそうでしょうが)前者のウエートを大きく考えすぎるのでしょう。少し『勝つこと』のウエートを軽くしなければならない時期もあると思います」
-星野元監督が殿堂入りパーティーで(優勝には)『あと2年、待ってください』と言っていた。
「1年では課題も多く大変だが、2年もあれば今のままでいくと、優勝できる体制になるということでしょう。お言葉に応えなければいけませんね」
-今季の反省点や課題というのは?
「ピッチャーで言えば藤浪君。バッターで言えば高山君と北條君。飛躍を大いに期待した選手ですが、思うようにはいかなかった。活躍してくれていたら優勝もあったかもしれない。彼らの責任にするわけではないけれども、十分に反省してくれていると思う。それを来シーズン、また、将来に見せてくれればいいのであって、そこに期待をしています」
-藤浪の存在は大きい。
「本人に負担をかけすぎてはいけないけれども、期待は大きいですから。持っている力はみなさんも確信しているようにすごいものがありますので、ぜひとも調子を取り戻してほしいです。彼の復活は球界にとっても大きなこと。そういった課題をタイガースは背負っていると思っています」
-生え抜きで甲子園のスター。チームの顔になってほしい。
「当然そうです。これは高山君も北條君にも言えることです。甲子園のスターでわれわれが期待して取った選手です。チームの中心にと大きな期待をかけた選手です。経験年数が少なく、そこまで負担をかけるのはどうかとも思いますけれど、甲子園の申し子としてタイガースを投打で引っ張ってほしいと思っています」
-CSで藤浪が登板した時の盛り上がりはすごかった。ファンも成長を期待している。
「ドラフトからみなさんが注目してきた選手ですのでよく分かります。活躍すると、より親近感が湧いてくるというのがみなさんの気持ちでしょう。期待した選手が期待通りの結果を残すことが、本当にファンのみなさんに喜んでいただけることです」
-打つ方ではロサリオを獲得した。
「まだ外国人選手に頼らないといけない状態です。軸が固定すると、他の選手も力を発揮できると思います。中軸が固定することは本当に大切なことです」
-資金面でも本腰を入れて獲得した。
「今回はとにかく打てる選手をほしいというオーダーをした。守れなくても、ホームランを打てるバッターということで獲得した」
-起爆剤的な存在にもなりえる。
「日本人の生え抜き4番が望ましいが、少し時間が欲しい。それまではロサリオに助けてもらいたい。外国人選手ですから実戦にならないと分かりませんが、実績的には十分に、期待に応えてくれるものと信じています。少し打てなければすぐに厳しい声が出ますから、早くそういう環境に慣れるように配慮したいと思っています」
-昨年のチームから欠けている部分が埋まる。
「一塁にいろいろな選手が守ったり、外国人が定着できなかったので、そこを補強したということです。あとのポジションは競争になります。春のキャンプで厳しい競争が見られると思います。監督は『任せてください』と言っていました」