藤浪が激白!目指すはオンリーワン オフの自分探し終了 雪辱のシーズン「楽しみ」
阪神の藤浪晋太郎投手(23)が、デイリースポーツのインタビューで雪辱の2018年を誓った。昨年末は自分探しの旅とし、トレーニングと並行してさまざまな知識を取り入れた。苦しんだ昨季の思いから、「見とけよ」と今季に懸ける思い、2年後に控える東京五輪まで…。まずは「楽しみ」という新年を迎え、ローテ再奪取でオンリー“ワン”の存在を目指す。
-あらためて昨シーズンを振り返ると。
「当然、成績的には良くないシーズンでした。1年間のほとんどを2軍で過ごしましたが、自分としてはいい経験、と言えるようにしたい。でも実際、いい経験だと思っています。あまり今まで自分のために期間を取って、練習するということがなかったので」
-フォームはもう一度、自分のあるべき姿を思い出す作業か。それとも新しいところに向かっているのか。
「両方です。新しいものを入れる部分もあれば、今まで使えていたものを、しっかり使えるようにするものもある。一概に全部変えてしまうわけでも、良かった時を思い出すわけでもないです」
-追い求めているポイントは何か。
「難しいですね。言葉にすると、内旋(注1)がとか、体幹が、地面反力(注2)がどうという話になってきます。足の使い方で言えば、今まで良かった時はもっと地面を捉えていると。しっかりと踏ん張って投げられていたというのがあったんですが。それが疲労とか、(体が)硬くなって使えなくなっていました」
(続けて)
「動作解析の先生が言うには『足の裏の足を縮める力が弱くなっているから、地面を捉え切れなくなっている』と。それくらい繊細な話なんですけど、それも一つでした。足が着く前の話で言うと、足を上げた時に腰方形筋(注3)という筋肉があって、うまく使って内旋して安定するようにしたりとか。それは新しい取り組みですね」
-昨季の不振の要因として、蓄積疲労が大きかったということか。
「自分では全く実感はないです。ただ、動作解析の先生に言わせると、1、2、3年目で体の使い方が違ってきているよねって。ストレッチなどでは追い付かないものがあると。機能的に落ちているところがあるのは事実で、今までは若かったから何とかできたけど、崩れてくると、どんどんおかしくなるんじゃないかと。蓄積疲労のせいにはしたくないですけど、事実として認めないといけないと言われました」
-長い野球人生の中で、いい分岐点になる。
「今までだったら、そこに立ち返っていれば大丈夫だと思ったところに、立ち返ったところで体が十分に使えないからいいようにならない。その繰り返しだったと思います。そういう意味では、新しく安定して立ち返れる場所を。機能性の話です。感覚的だったものを、今は足がこう使えていないから…とか。立ち返る場所が、より深くなるのかなと。いろいろ勉強しています」
-自主トレは「いろんな所に行く」と言っていた。具体的には。
「トレーニングの基本はウエートです。ジムに行きながら、体幹トレーニングの先生や、動作解析の先生、目の先生や、理学療法の先生…。そういう所にいろいろ行きました。あとはトラックマン(注4)の勉強。そういうことが東京で、できる機会が多かったんです」
-トラックマンの勉強とは、具体的に。
「データをどう生かすのかとか、活用方法の講義がありました。回転数やデータを見て、自分でどう生かすのか。どういう傾向にあるのかとか、グラフなどから学び取れるように。自分のデータも昨年、違う球場で取られたものもありましたから」
-立場は1年前とは違うスタートになる。
「1月からキャッチボールをするんですが、すごく楽しみです。取り組んだ結果がすぐ出るとは思っていないですが多少、感覚の違いも出てくると思う。そういう意味ですごく楽しみにしています」
-もう一度、先発ローテーションを奪いにいかないといけない。
「当たり前ですよね。昨年1年間ファームで過ごした人間に、先発ローテ当確と言うかといえば、言わないですし。いまさら言われなくても、分かっているので、というくらい自分の中では、当たり前の感覚です」
-周りの目は、逆境に立たされている感覚で見る。
「やるしかないので。結果残す。数字残す。シンプルなことです。楽しみと言えば、楽しみかもしれないですね」
-昨年は中継ぎ投手の負担が多かった。
「投げるからにはイニングを長く投げたいです。それがチームのためにもなると思いますが、まずはリリーフのためうんぬんより、とにかく長いイニングを投げたいです」
-昨年2位のチーム。目指すのは優勝だ。
「しっかりと活躍できれば、優勝に貢献できるかなと思います。当然、そこが最終目標なんですが、優勝とか、チームのためにと思い過ぎないように。淡々と自分のことをやることが、チームの勝利につながると思う。一番、分かりやすい目標で言えば、今年は自分のために野球ができたらいいな、と」
-自分が復活しなければ、チームにとってメリットがない。
「そうです。自分のためにブレずに。それがプロ選手の姿で、チームのためになると思いますね」
-精神的にはキツいものもあったのでは。
「楽しくはないですよね。仕方ない気持ちと今年、見とけよという気持ちです」
-金本監督は東京五輪に出てほしい、と。
「今、イメージできるかと言われたら、難しいですけど。昨年みたいな成績では選ばれない。ただ、しっかりとやれば選んでもらえるかなと思う。東京五輪に出られるように頑張るというよりは、成績が出れば選んでもらえる。このために頑張るんじゃなくて、頑張った結果、選ばれるようにしたいですね」
-何度も日の丸のユニホームを着ているが、自分の中では特別なものか。
「国際試合はなかなかあるものじゃないです。オリンピック…まして、東京五輪なんて、自分の生きているうちにはもうないでしょうから。そういう意味で出てみたいと思います。目の前の一年一年をしっかりやっていけば、選んでもらえるのではと思います」
-同学年の大谷がメジャーに移籍する。
「楽しみですよね。アメリカで日本人が二刀流をやれるのか。それは誰もできていないわけですから。イチローさんでも、松井秀喜さん、ダルビッシュさん、田中将大さんでも、できていないわけですから。楽しみです」
-投手と野手、どちらが楽しみなのか。
「どっちもすごいですから。どっちも捨てがたいですね。でも、日本人投手って割と、すごい選手は活躍しているイメージです。打者でパワーヒッターって、今まで松井(秀喜)さんが活躍したくらいなので。前人未到感があるのは、打者かなと思いますけど。でも、どっちも楽しみですね」
(注1)内旋…上腕や大腿を位置を変えず、体の内側に向かって回転させる動き。
(注2)地面反力…地面に加えた力に対する反作用の力。
(注3)腰方形筋…腹筋群の一つで腰椎の両側にある長方形の深層筋で腹腔後壁を形作る筋肉。
(注4)トラックマン(弾道測定器)…軍事用レーダーシステムを応用し、打者のスイングスピードや投手のボールの回転数などを正確に測定できる装置。投手が投じる1球につき、約80項目の数値が計測可能。