ロサリオ 大ハッスルデビュー戦 マルチ安打に好走
「阪神紅白戦、紅組2-4白組」(7日、かりゆしホテルズボールパーク宜野座)
阪神の新外国人、ウィリン・ロサリオ内野手(28)=前韓国・ハンファ=が、今季初実戦となる紅白戦で2安打デビュー。痛烈なクリーンヒット、バットを折りながらも三遊間を破った打撃だけでなく、走塁への高い意識も披露。首脳陣が高評価する大ハッスルの一日となったが、本人は厳しい表情を崩さず、初の対外試合となる11日のDeNA戦に視線を向けた。
周囲の騒がしさをよそに、ロサリオは厳しい表情を一切、崩さなかった。内容のある2本のヒット、そして外国人スラッガーとは思えない好走塁-。デビュー戦で十分すぎるインパクトを残したが「これはあくまでも練習の一環。自分の中で今日は試合とカウントしていない」と言い切る。
“来日初安打”が生まれたのは四回の第2打席。岩貞が投じた初球、147キロのストレートをマスコットバットで完璧に振り抜いた。すさまじい打球音を残した白球は、猛烈な勢いで左翼の芝生に弾むクリーンヒット。続く六回の第3打席では追い込まれながらも、石崎が外角ギリギリに投じたカットボールにバットを折りながら三遊間を抜いた。
難しい球でもきれいにヒットゾーンへ運べる技術は、前評判と何ら違わない。ただ、それ以上に驚かせたのは走塁への意識の高さだ。続く大山の3球目にノーマークを察知すると二塁へスタートを切りかけた。石崎に気づかれてけん制球を投げられ、慌てて一塁へ頭から戻ったが、わずかな隙を突こうとした。
北條の打席では捕手・長坂がわずかにはじいた瞬間を見逃さず、三塁を陥れた。昨年、韓国で10盗塁をマークしているが、想像以上の判断力と意識の高さに金本監督も「次の塁を狙う意欲がある。隙あらば盗塁してやろうかという姿勢もあったし。今日は走塁が目に付きました」と目を細める。
「試合の中では走塁も大事。細かなところだけど、そういう部分でもチームを勝利に導きたい」と力を込めたロサリオ。初球から積極的に振ったことには「実戦から遠ざかっているから、積極的に振ってスイングを作っていかないといけないので」と調整の意図を冷静に明かす。
そこに愛称のトロ(闘牛)というイメージはなく、非常にクレバーな選手であることを印象づけた初実戦。「他のチームとの試合になれば、相手投手の意識も違う。もっともっと日本の投手と対戦していきたい」と言ったロサリオは、間違いなく超一流の野球観を持っている。