05年型の球児復活 金本監督絶賛!タメ作る“一本足”投法
「阪神春季キャンプ」(13日、宜野座)
阪神の藤川球児投手(37)が13日、第3クール最終日にフリー打撃に登板した。今キャンプ初めて打者を相手に投球し、陽川に対して14球で安打性の打球は1本。首脳陣の前でベテラン健在を証明した。今年から2段モーションが反則投球とされなくなることで、80試合に登板した2005年に似た投球フォームに変更。香田投手コーチも勝ちパターンでの起用を示唆した。
フリー打撃登板を終えた藤川が、小走りで打撃ケージ裏に向かった。今年初めて打者を相手にした投球。見届けた「フォークの神様」こと杉下茂氏から、笑みを交えながら助言を受けていた。陽川を相手に変化球を含む14球を投げ、安打性の打球はわずかに1本。通算215勝の92歳が絶賛した。
「非常に順調だな。いまさら助言はありっこないじゃないか。今の時期に、これだけ投げられたら十分だ」
内外角への投げ分けを意識した投球。藤川自身「よかったですよ」と順調な調整が続く中で、確かな変化は左足にあった。セットポジションから高く上がった足を一瞬、制止。一本足で立ち、ため込んだパワーをリリースに凝縮させた。球種、コースが分かった状態で、陽川から3度ファウルを奪うなど、フェアグラウンドへの打球もわずか4本だ。
香田投手コーチが解説する。「以前のように2段(モーション)というか、しっかり立ってタメを作る。本来の姿に戻しつつあります」。ここでの以前…は2005年を指す。自己最多80試合に登板。JFKとして無敵を誇り、リーグ優勝に大きく貢献した。だが、翌06年から2段モーションが反則投球となり、フォーム変更を余儀なくされていた。
06年は驚異の防御率0・68と対応力を見せたが、今年から公認野球規則が改定され、2段モーションが反則投球でなくなる。自主トレ中、ルール改正について藤川は「いまは考えていない。もしかしたら、こういう使い方ができるかも、とかはあるかも」と話しており、新たな引き出しの一つにもなりそうだ。
ケージ後方から軌道を確認した金本監督も絶賛する。「球が重くなっているように見えた」。“火の玉”とも称されるストレートの復活。昨季はビハインドの展開でもフル回転で支えたが、香田コーチは勝ちパターンでの起用に言及。「皆が順風満帆とは限らない。その中に名前が入ってくる」と続けた。
ロサリオや新人の島田、2年目の才木ら“新鮮力”に話題が集まる中、ベテラン健在を示した14球。20年目、7月に38歳を迎える男は笑って帰路に就いた。「変化球をもう少し投げようかと思ったけど、相手も球種を分かっていたので意味がない。今からですね」。残り45日。優勝を口にして臨むシーズン開幕まで、調整スケジュールは脳裏に描かれている。