大山 執念1号 開幕初スタメンでズバリ一発快答「いいバッティングができた」
「巨人1-5阪神」(30日、東京ドーム)
小さく、控えめなガッツポーズだった。それでも阪神・大山悠輔内野手の一振りが、試合の流れを大きく引き寄せた。巨人先発の菅野から放った1号2ラン。一瞬の静寂は消え、大歓声が巻き起こる。笑顔のグラウンド一周だ。
試合の勝利を呼び込んだ一撃だった。2点リードで迎えた三回。2死一塁で迎えた大山の第2打席だった。1ボールからの2球目、外角のツーシームにコンパクトに反応。「追加点をとれたのが大きかった。自分でもいいバッティングができたと思う」。無理なく放たれた打球は、沈黙する右翼席に着弾した。
「緊張して、いつもとは違う感じがした」と振り返ったが、初めての開幕1軍&開幕スタメンでいきなりのマルチ。二回には福留が先制弾を放ち、開幕戦での“アベック弾”は、2009年の関本・金本以来、9年ぶりだ。関本から引き継いだ背番号「3」。歓喜の一発で歴史までも受け継いだ。
つぼみが実った春だった。3月には球団の野手では5年ぶりに日本代表に選出された。強化試合では4打数無安打と快音こそなかったが、それでも大山には結果以上の収穫があった。出発前に平野打撃コーチから伝えられた「全部吸収してこい」のゲキ。4日間の短い期間の中で、見て、聞いて…。とにかく引き出しを増やした。
二人三脚で打撃練習に取り組む同コーチは言う。「勉強になりました、こういう話聞けました、自分のためになりましたって帰ってきたからよかったよ」。生きた教材の中で成長して帰ってきた若虎に胸をなで下ろした。
いきなりの一発で、まずは1勝。それでももうそれは終わった話だ。「一日一日しっかりやるだけ。次の試合も自分のできることをやりたい」と大山。すでに気持ちを切り替え、歩き出していた。