「阪神４－１広島」（１１日、甲子園球場）

　阪神・糸井嘉男外野手が、糸原健斗内野手が笑顔でハイタッチを交わす。はにかむルーキー左腕のもとに、次々と手荒い祝福が注がれた。広島相手に連勝を飾ったヒーローは高橋遥。陰の殊勲は野手の援護だ。「絶対に勝ちを付けよう」。試合前の円陣で必勝を誓い合った。有言実行の１勝だ。

　高橋遥が初回を無失点で切り抜けると、ベテランがいきなり援護点を届けた。１死一塁で糸井は１－１から３球目、外角の直球をフルスイングした。コースに逆らわず振り抜いた打球は、ライナー性の軌道で左中間を真っ二つ。フェンスまで転々とする間に、上本が先制のホームを踏んだ。

　「今日は…高橋君でしょ。ナイスピッチング！！」。決勝打にも多くを語らず、後輩の熱投をたたえる。１点リードの五回には１死一塁から四球で出塁。先輩のつなぎに応えたのは糸原だ。大山の押し出し四球で１点を追加し、なおも２死満塁で迎えた打席。「食らいつく」と決めていた。

　２－２から３球ファウルで粘って８球目。外寄りのフォークだ。体勢を崩しながらも打球は遊撃・田中の頭上を越えた。２者が生還。ベンチでは高橋遥がガッツポーズを見せた。「頑張っていたので、なんとかしたかった」。四回に中前打、八回には左前打。初登板初勝利の快挙に、糸原も今季初の猛打賞で応えた。片岡ヘッド兼打撃コーチも評価する。

　「粘って、粘っていいところで１本打つのが持ち味。存分に発揮してくれた。遊撃の守備もあるけど、こういうところでの活躍が試合に出続ける条件になる」

　開幕から全試合に先発出場。慣れない遊撃の守備でも頻繁に、投手のもとに駆け寄って声を掛ける。「助けられる試合もあれば、僕らが助ける試合もある。そういうチームが強いと思うので」と糸原。投手が抑え、野手が打った。支え合いの１勝。投打に「１００点」の試合となった。