ドラ2・高橋遥7回0封 村山以来59年ぶり!甲子園初登板初先発でプロ初勝利
「阪神4-1広島」(11日、甲子園球場)
阪神がルーキー左腕の快投で単独首位に躍り出た。プロ初登板初先発のドラフト2位・高橋遥人投手(22)=亜大=が7回2安打無失点。王者広島打線を寄せつけず、チームに連勝をもたらした。甲子園初登板初先発初勝利は、村山実以来59年ぶり、左腕では球団史上初の快挙となった。
信じられなかった。それでも確かな大歓声が耳には届いた。勝った、本当に勝ったんだ!!高橋遥が強力広島打線に真っ向勝負を挑み、7回2安打無失点と輝きを放つ。プロ初登板初先発でつかんだ、うれしいうれしいプロ初勝利だ。
金本監督の「笑えよ」の言葉に、あどけない笑顔の花もようやく開く。家族も駆けつけた大舞台でもあった。みんなの期待に応えたんだ、今度こそ…。緊張しながら立った初のお立ち台で「100点あげてもいいんじゃないかな」と笑った。
注目が集まったその初球は、144キロの直球で見逃し。ファーストストライクを取った瞬間、大きな歓声が鳴り響いた。そして6球目をはじき返されると、その打球を自らが捕球。一塁へ駆け足で近寄ると下からトスし、最初のアウトを奪った。立ち上がりを無失点に抑え、堂々たる“遥人ショー”の開演となった。
築き上げる凡打の山。ピンチなどない。二塁すら踏ませない好投で、最後までテンポよく投げ込んでいった。7回を投げきり、自らの仕事を全う。ベンチでは笑顔の金本監督に出迎えられ、肩をポンポンポンと叩かれた。指揮官の期待に応えた。それはその“証し”でもあった。
うれしかった。背負った役割を果たせなかった過去があったから-。名門・亜大で過ごした4年間の集大成は悔しいマウンドとなった。昨年11月5日の東都大学野球、東洋大戦。場面は、3点ビハインドの四回2死二、三塁。「流れを変えてくれ」。すがる思いで、マウンドを託されたのが高橋遥だった。だが…。大事な場面でストライクが入らない。5球連続でボールを投げ、無念の降板となった。「情けない」。期待に応えられず、試合後は自分自身を責め続けた。
それから5カ月。そこにはタテジマのユニホームを着た、そんな面影さえ感じさせない左腕がそびえ立っていた。「ファンの歓声を背中に感じて、思い切って投げることができました」。かみしめた84球。虎党も、鯉党も、そして金本監督も含む全ての人の度肝を抜くには十分だった。単独首位を呼び込んだ、ルーキー高橋遥人。周囲の期待に応え、誰よりも輝いていた。