メッセンジャー、暴言退場 悪癖再発、二回に…わずか56球で降板 一夜で首位陥落
「阪神1-5広島」(12日、甲子園球場)
悪い癖が再び顔をのぞかせた。自身初の開幕3戦3勝を狙った阪神のランディ・メッセンジャー投手(36)が二回、白井球審への暴言で退場処分となった。逆転を許し、なお2死満塁から松山に与えた押し出し四球の判定に激高。わずか56球で降板し、中継ぎ陣に負担を掛けてしまった。打線も不発でチームは同一カード3連勝を逃し、一夜にして首位から陥落した。
メッセンジャーはくるりときびすを返し、マウンドに向かっていた。その背後で白井球審は右手を振りかざして退場を宣告した。一気に怒号が飛び交い、不穏な空気に満ちあふれた甲子園。大黒柱が二回途中で退場処分を受ける異常事態に、王者広島に3タテを食らわせるムードは吹き飛んだ。
立ち上がりからストライク、ボールの判定に苦しんだ助っ人右腕。初回2死、2ストライクから丸に投じた3球目、真ん中付近のストライクがボールと判定された。この時はまだ平静さを保っていたが、続く二回、無死一、三塁から磯村に放たれた痛烈なピッチャーライナーが自身の右でん部付近を直撃。これが同点の適時打となると感情を抑え切れなくなった。
マウンド上で判定に対して表情に表すようになり、なおも2死一、三塁から菊池に右前適時打を浴びた。さらに満塁と傷口を広げ、フルカウントから松山に投じた直球はストライクと判定されてもおかしくなかったが…結果は押し出し四球。ここでマウンドからホームへ歩み寄り、暴言を吐いて退場となった。
慌てて首脳陣が審判団に説明を求めるも、一度下った宣告は覆らない。金本監督は「俺は(メッセンジャーが何を言ったか)聞いてないからね。聞こえていないし、そう言ったと言われればそう取るしかないし」と困惑の表情を浮かべた。香田投手コーチは「立ち上がりだけにこらえてほしかったけど。まあ彼の気持ちも分かります」とエースの心情をおもんぱかる。
白井球審のストライクゾーンは試合を通じて一定していなかったように映った。バックネット裏からはファンの怒号と疑問視する声が飛んだ。ただそれも野球-。指揮官が「想定外?もちろん」と語ったように、週半ばでリリーフ陣をつぎ込む形になった事実は今後の戦いにも響く。
「取り返してほしい?もちろん、もちろん」と金本監督は次回登板に期待を込めた。試合後、メッセンジャー本人は大きなため息をつきながら「オツカレサマデシタ」と言った。1日で首位陥落。チームの大黒柱だからこそ、次は名誉挽回の投球が求められる。