鳥谷、今季初の猛打賞 虎史上単独3位135度目 「感覚悪くない」さぁ反撃開始や
「阪神8-3ヤクルト」(15日、甲子園球場)
背番号1が輝きを取り戻した。阪神の鳥谷敬内野手(36)が今季初、そして球団では歴代単独3位となる通算135度目の猛打賞と大暴れ。開幕から調子が上がらず、打率も1割台と低迷していたベテランの奮起で、前日完封負けを喫した猛虎打線も目覚めた。今季最多タイ13安打、今季最多の8得点での圧勝劇。勝率を再び5割に戻した。
まだまだこんなもんじゃない。3安打1打点の活躍。確かな復調の光は差し込んだ。鳥谷が今季初の猛打賞だ。「感覚は悪くない、これを続けていきたい」。青い空が見え始めた昼下がり。そのバットが織りなす快音と、4万を超す大歓声が一気に暗雲を切り裂いたのだ。
3点リードで迎えた七回だった。2死一、三塁の好機で回ってきた5打席目。山中に2球で追い込まれるも、その後はファウルで粘った。迎えた7球目。真ん中に甘く入ってきたスライダーを捉えると、中前へと運んだ。今季2打点目。ここで代走を送られベンチへ戻ると…。沸き立つ虎党、そして仲間の笑顔が見えた。歓喜のハイタッチで出迎えられた。
大暴れだった。初回には右中間フェンス直撃の二塁打を放ち、四回には2死走者なしから直球を左前へはじき返した。猛打賞は今季初で、和田豊を抜いて球団歴代単独3位となる通算135度目。「塁に出たいと思っていたので、いい形になってくれてよかった」。試合後は、鳥谷らしく淡々と振り返ったが、いずれも得点に結びついた大きな、大きな一打となった。
苦しい時期が続いていた。この試合前までで13試合に出場し、先発出場したのは5度。この日の安打は4日のDeNA戦(横浜)以来、18打席ぶりの安打だった。前日まで打率・111。「まずは試合に出られるように頑張ります」。結果を残せていない自分自身がふがいなく、情けなく…。ただ毎日が必死だった。
ようやく見えてきた復活の兆しに、金本監督もホッとした部分もありながらも、こう続けた。「まだまだですね、やっぱり。今日3本打ったから本調子という見方はまだです」。片岡ヘッドコーチ兼打撃コーチも「いいきっかけにしてほしい」と話した。
鳥谷が背負う期待値は高くて、大きい。それでも応えてくれるという信頼があるからこそ、首脳陣も、虎党もそのプレーに思いをはせる。先は見ない。目の前の試合を一つずつだ。「頑張ります」と鳥谷。浮かれやしない。まだまだこんなもんじゃない。