ロサリオバット折れてもタイムリー 試合前に松山城で甲冑着て侍魂注入

 「ヤクルト2-4阪神」(25日、坊っちゃんスタジアム)

 鈍い打球音が響いた。ツートンカラーのバットは根元からボッキリと折れた。それでも阪神のウィリン・ロサリオ内野手がこん身の力で振り抜いた打球は三遊間を破るダメ押しの左前適時打。連敗ストップへ導く4月15日以来のタイムリーに「100%ではないけれど、ヒットになってくれてよかった」と言う。

 1点差に迫られて迎えた七回、1死一、二塁の第3打席。カウント2ボールから「球種に張るのではなく、コースを意識して来た球を打つ」と内角シュートに食らいついた。

 初球、2球と外角のスライダーをきっちりと見極め、インサイドに目付けしたロサリオ。狙い通りの内角球をフルスイングできたことが、バットを折られながらも三遊間を破った一つの要因だ。

 この日の試合前、ロサリオはチーム宿舎と目と鼻の先にある松山城の天守閣に登った。片山ブルペン捕手とマテオがウォーキングに出かける際、同行したいと申し出た。

 天守閣へのルートは山道を登る以外に、リフトとゴンドラの2種類があるが「『リフトは怖い…』って言ってた」と片山ブルペン捕手。安全ルートで降り立った天守閣では、記念撮影用に置いてあった赤い甲冑(かっちゅう)を身にまとって記念撮影した。眼下に広がる壮観な町並みを見て気分をリフレッシュさせた。

 外国人選手にとって、異国の地で戦うストレスは想像を絶する。言語の違い、スタイルの違い-。それを受け入れるか否かが活躍のカギとも言われる。「日本の文化にも積極的に触れていきたい」と語っていたロサリオ。打撃フォームで悩みを深めていた中、自ら気持ちを切り替えようとする姿勢は重要だ。

 試合前に甲冑写真のことを問われると、満面の笑みを浮かべたロサリオ。金本監督は「しぶといタイムリーが出たから、きっかけにしてほしい」と言った。日本で前を向いて戦う主砲。全開の日がとにかく待ち遠しい。

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