岩崎、真っ向勝負で雪辱初星 大ピンチ防いだ
「広島2-4阪神」(30日、マツダスタジアム)
悔しさは白球に込めた。同点で迎えた九回裏、2死満塁のピンチ。阪神・岩崎は全8球の直球勝負で、十回の勝ち越しにつなげた。思いを込めた14球で今季初勝利。決勝2ランのロサリオに主役は譲ったが、価値ある熱投でチームの連敗を止めた。
この回、藤川が2四球で1死一、二塁としたところで出番が巡った。田中は遊飛に抑えたが、続く菊池にはストレートの四球。満塁となって敵地スタンドのボルテージが、一気に高まった中で野間を迎えた。「自信のある球でいこう!!」。ピンチで送り出された際の香田投手コーチの言葉を思い出した。
スライダーなど変化球を封印。最後は2-2から8球目、内角高めの勝負球で三邪飛に抑えた。真っ向勝負で力勝ち。延長十回に勝ち越し、ドリスが締めて9セーブ目。「いいプレー(三ゴロ併殺)に助けられたね。こんな展開でも準備はしていたね」と胸を張った。守護神につないだ岩崎の気迫。左は高橋聡もいる中での起用を、金本監督は「迷いなく」と明かす。
「高橋の調子がよければ選択肢もあったでしょうけど、今は岩崎のボールが素晴らしいんでね」
28日のカード初戦。同点で迎えた六回に登板し、2失点で黒星を喫した。雪辱の勝利にも、岩崎は笑みすら浮かべない。「負けはすぐに取り返せるものじゃない。今日だけじゃなく、これから何試合も抑えて、取り返していきたいと思います」。1球、1プレーが勝敗を左右する中継ぎ稼業。余韻に浸ることなく、次戦を見据えた。