上本“打ち出の小づち”笑顔満開の4打点!5月は6打数6安打6打点でまさに無双
「阪神4-2DeNA」(3日、甲子園球場)
今季最多の4万6596人で埋まった聖地を阪神・上本博紀内野手(31)が歓喜に導いた。逆転2点二塁打を含む7年ぶり2度目となる自己最多タイの1試合4打点。2試合連続猛打賞で5月は6打数6安打6打点と絶好調。3連勝で貯金を1とし、2位に浮上。黄金週間は白星で彩る。
今、咲き誇る。魅せた上本、輝いたその打棒。今季最多の観衆4万6596人が揺れた。7年ぶりとなる自己最多タイの1試合4打点。幕を開けたゴールデンウイーク後半戦で、一気に開花宣言だ。
ハイライトは1点を追いかける五回だ。糸原、メッセンジャーがつないで作った2死一、二塁。上本は初球のカーブを逃さなかった。鮮やかにはじき返すと、白球は左中間を破った。走者2人が一気に生還して逆転。仲間の笑顔が咲く。この一振りでベンチの雰囲気を変えた。
七回1死満塁では高めの直球を左前へはじき返す2点適時打。初回に内野安打を放っており、2試合連続の猛打賞。6打数連続安打。5月は6打数6安打6打点と絶好調だ。それでもお立ち台では「いいときもあるし、悪いときもある。迷惑をかけることが多いので、たまにはいいかなと思います」と苦笑いの上本。控えめなヒーローを虎党はあふれんばかりの大歓声で包み込んだ。
昨オフは己との闘いでもあった。昨年11月に右足首の手術を決断。懸命にリハビリに励み、照準を開幕へ合わせた。キャンプは2軍スタート。そんな中、鳥谷の二塁コンバートのニュースが飛び込んできた。焦りもある。それでもはやる気持ちを押し殺し、やるべきことに目を向けた。
昨季の失策は5。課題だった守備を見つめ直した。藤本2軍守備走塁コーチと特守に励み、ここまで1失策。「いろいろ任せてもらったので、安芸スタートでよかった」。キャンプ打ち上げまで、上本は決して出遅れたとは思わなかった。
ここまでの先発出場は10試合。少ないチャンスで結果を出す、それだけだった。下からはい上がった男の「執念」で呼び込んだ3連勝で2位浮上だ。立役者は上本博紀。名前が刻まれたピンク色のタオルが歓喜の中できれいに揺れる。空は青、大地は黄。遅咲きの桜が今、咲き誇っている。