ロサリオ、復調へ突貫工事 小さなステップから足を上げ…メジャー時代のフォームに
不振に苦しむ阪神のウィリン・ロサリオ内野手(29)が13日、打撃フォーム修正に着手した。マツダスタジアム隣接の室内練習場で、片岡ヘッド兼打撃コーチと話し合い、従来は上げていなかった左足を上げ、ステップを踏みながらタイミングを取る打法に変更。降雨のため試合は中止となり、試合で新フォームの効果を確かめられなかったが、メジャー在籍時の打撃フォームに戻す突貫工事で復調へのきっかけをつかむ。
雨音が響く室内練習場で、始まった突貫工事。このままではいけない。不振に苦しむロサリオが打撃フォームの修正を敢行した。年に一度の母の日は、西日本を中心に雨模様。試合で新フォームお披露目とはならなかったが、まずは“土台固め”だ。復調へのきっかけを一気につかむ。
二者懇談が行われた。虎の主砲と、片岡ヘッド兼打撃コーチ。フリー打撃開始前にじっくり話し合うと、ロサリオがケージ内へと向かった。そして1スイング目。そこには大きな変化があった。これまでノーステップ気味に打ち込んでいた主砲が、まずは小さく左足を右足方向にステップ。そして10センチほど上げてから、踏み込むと同時にスイング。タイミングの取り方が明らかに変わった。
ここまで33試合に出場し、打率・244。本塁打はわずか3本と前評判を裏切る数字で、周囲から聞こえる声も次第に厳しくなってきていた。そんな中での思い切った変化。片岡ヘッドは「自分らしい“間(ま)”というか、タイミングを。結果が出ていないときは、どうしても当てにいってしまっているように見える。やり方として、何か大きく変えてみるのも一つ」と説明した。
これはメジャー時代のスタイルでもあった。3年前まで在籍したロッキーズ時のフォームだといい、「対戦相手を見ながら変えていくことが大事だと思った」と意図を説明した助っ人。フリー打撃後もバットを手放さなかった。平野打撃コーチが投じる遅い球を、ネットに打ち返す。マシンを使って打つくらいなら俺らが…とフォーム固めの打撃練習にコーチ陣が付き添った。平田チーフ兼守備走塁コーチも打撃投手を務めた。結局ロサリオはフリー打撃から合わせ、30分以上もの間、バットを振り続けた。
試合前、準備を重ねて打ち込みを行ったが、結局午後1時25分に中止が決定。12日の広島戦から5番に打順が下がり、この日も「5番・一塁」で出場予定だった。金本監督は「本人は出たいんじゃないかな?出ながらというのがあるやろうし」と話したように、打順にこだわらずリフレッシュさせながら、今後も試合に使い続けることを明言した。
ロサリオが練習を終え、帰りのタクシーに乗り込んだのは、若手野手も引き揚げた後の最終組だった。「試合が始まって、実際にやってみないと分からない。試合で打てたときによかったとなる」。全てはチームの勝利、そして虎党を喜ばせるために、だ。