「中日６－１阪神」（２０日、ナゴヤドーム）

　捕手として課題は残ったが、両手には確かな感触を抱いた。初めてスタメンに名を連ね、マスクをかぶった２年目の阪神・長坂拳弥捕手がレジェンドから待望のプロ初安打をマーク。二塁ベース上から、記念球が阪神ベンチに戻されるのを見届けた。それでも喜びに浸ることなく、表情をより一層引き締めた。

　「初ヒットはうれしいですし、松坂さんから打てたので忘れられないというか、記念というか思い出になります」

　三回１死。１ボール２ストライクからの４球目、松坂のカットボールを捉えた。打球は左中間を破り、二塁へ到達。通算２打席目で初めての快音を響かせた。

　しかし、喜びは一瞬だけ。「ヒットが打てたのはよかったですけど、内容も結果もこういう形になってしまったので悔しい。まずは投手をリードして、しっかりと守らないといけないので」。女房役として支えることができなかったことを悔やんだ。

　プロ初先発の才木と組んだ一戦。立ち上がりから制球に苦しむ右腕をリードすることができず、初回に３失点を喫した。二回には２死二塁からワンバウンドを後逸。その間に二走・京田が三進して大島の投手内野安打で追加点を奪われた。

　プロ１年目の昨季は、終盤に守備のみで１試合に出場。シーズン終了後にはアジア・ウインターリーグに参加して経験を積んだ。「オフの期間に試合で経験を積むことができたのは大きかった。いろんな投手とも組むことができたので、（自分の中での）引き出しも増えたと思います」と異国の地で修行し、新たな収穫をつかんだ。

　梅野、原口らと争う正捕手の座。明確となった課題を次の出番で最大限に生かし、チームを勝利に導いてみせる。