ロサリオお目覚め弾 試合前バレ砲から“金言”で11試合ぶり
「阪神8-3ヤクルト」(22日、倉敷マスカットスタジアム)
この男が打てば、勝機は自然と近づいてくる。阪神のウィリン・ロサリオ内野手(29)が三回、11試合ぶりの4号2ランを放ち、連敗を2で止めた。主砲の一撃が低調だった打線に火を付け、13試合ぶりの2桁安打となる11安打8得点で快勝。本領発揮はここからやで。
鈍い音だったが、打球は夜空に弧を描き、左中間スタンドに飛び込んだ。眠れる虎が起き上がり、たまりにたまったうっぷんを吹き飛ばした。ロサリオが三回、8日・巨人戦以来となる4号2ランをたたき込み、チームの連敗を「2」でストップさせた。
山田哲の連続失策で2点を先制し、なおも1死二塁の場面。左腕・石川の4球目、やや内寄りのカットボールをかち込んだ。「チームを助けるため、いつでも準備はしていたので、結果が出てよかった」と痛快な一撃を振り返った。
助っ人の一発で、生き返ったようにつながりを見せた猛虎打線。11安打8得点。5日・中日戦(甲子園)以来となるチーム2桁安打を記録した。「1桁打線」に終止符を打った攻撃陣について、「本当にそうなってよかったと思う。若い選手が多いので、みんなのバッティングの調子が上がって、それが勝ちにつながれば」と話し、安堵(あんど)の表情を浮かべた。
この活躍こそが真の姿だ。9日の巨人戦から10試合連続で3得点以下。チームは深刻な貧打にあえいでいた。だが、今季最多タイとなる1イニング5得点をマークするなど8得点し、負のループを断ち切った。倉敷に詰めかけた2万9324人のファンの期待に応えるゲーム内容だった。
試合前練習中には、敵軍の主砲から助言をもらった。バットを持ちながらバレンティンと打撃ケージ横で約10分間会話。その内容について「全てが簡単に打てるわけではない。慣れるまでに時間がかかる。だからこそ、狙い球を絞って打ち損じがないようにしなさいという話をした」と明かした。異国の地で実績を積んできた先輩の言葉に真剣に耳を傾けた。
金本監督は「まだ微妙と言えば微妙ですけど、1本出たというのをプラスに、気持ちも前向きにやってほしいですね」と期待を込めた。この日の一発、この勝利をきっかけに、ロサリオもチームも上昇気流に乗る。