矢野2軍監督インタビュー チーム盗塁数 断トツ77で首位爆走のワケ

 阪神2軍は現在、ウエスタン・リーグで首位を快走中だ。チーム盗塁数77はリーグ断トツ。今季からチームを率いる矢野燿大2軍監督(49)が、超積極的野球の秘密を語った。

  ◇  ◇

 -現在ウエスタン・リーグ首位。ここまでの結果は想像以上か。

 「結果というところは初めてのことだし想像できなくて。2軍は、開幕も1軍に入れなかったヤツが残ってメンバーが決められないから。順位は全く想像していなかったし、初めてのことでイメージが湧かなかった」

 -その中で結果として盗塁数も数字で表れている。手応えは。

 「こんなにできるとは思っていなかった。『許し』とか、『解放』とかそういう感じで選手の可能性を広げたいのが一番にあって。『アウトになっていいよ、どんどん行けよ』って言うことで、そういうところが解放されて、自分の可能性を広げてくれたら、1軍で盗塁できる可能性ができてくるやろうし。全体としてそういうのがあったから数も増えたのかな」

 -失敗してもいいと言われると、選手の気持ちも楽になる。

 「走塁って準備と姿勢でかなり変わるから。行動を起こさない時は何も見えない。行動を起こしたら、失敗しても何か分かるのよ。そういうところでは走塁が一番、想像以上に数字に結びついてきたと思う」

 -それが、打率が低い中でも首位にいる要因か。

 「あとは全力疾走とか。(10日のオリックス戦で)荒木が併殺崩れで一塁に残って一気に4点入った。凡打とかアウトで走るのは、自分を奮い立たせていかないと走れない。そういう目に見えない部分も、たまたま1位にいることに関係しているのかな」

 -それをずっとやっていたのが板山だと話していた。開幕から4番に据えた理由は。

 「一回、社会人の練習試合で外した。そこから、いろんなことを変えていかないと、っていう話をしたら、凡打後の守備位置までの全力疾走もできるようになって。2軍が開幕する時に『4番』っていなかった。板山のその後の姿勢は『すごく変わったな』と思ってて、じゃあ板山でいいんじゃないって。そこからの板山に関しては代える理由がなかった」

 -板山は1軍でホームランも打った。

 「プロ1号はうれしかったし。江越が打ったのもうれしい。そうやって1軍で結果を出してくれるのが、こんなにうれしいんやなっていうのは、2軍監督になって初めて分かることやったね」

 -今、2軍にいる藤浪と何か話したか。

 「話はしたけど、アイツ自身、自分のことをしっかり受け止めていた。ストライクが入らないとか、フィールディングがうまくできないとか、そういう受け止めたくない自分を。それは一つ進歩やと思って。そこを受け入れたところからスタートしないとダメだから。そこは分かっていたから『じゃあ良くなるように頑張ろうぜ』っていうニュアンス的なことは言った」

 -これまでで一番印象的なゲームは。

 「やっぱり開幕戦(3月16日のソフトバンク戦)やなぁ。自分も初めてっていうのが強烈に残っているのと相手(先発)が千賀っていう。WBC日本代表のエース候補の投手に対して、みんな真っすぐに負けずに一発で仕留めようって。それを前に飛ばしてヒットにできるかが1軍選手との差だと思う。そういうことを言ったら北條も島田もみんなが真っすぐをとらえて。試合には負けたんだけど、すごい楽しくて。『コイツらスゲえな。やるやん』って」

 -次の昇格候補には北條や陽川が入ってくる。何が足りない。

 「今、大山だって、トリ(鳥谷)だって、1軍でめっちゃいいっていう選手がいないのに上がれないのは数字。誰にも文句を言わせない、1軍に上げざるを得ないとなるのは数字を出すこと。でも、俺はそれプラス、北條は野球勘が鋭いから、走ってやろう、次の塁を狙ってやろうとかすごいアンテナが立つ選手。俺らの時代で言えばジャイアンツの元木みたいな感じで、相手に嫌がられるような、戦いにくい部分は求める。陽川はやっぱり本塁打を打てるのがアイツの大きな魅力だからまずはそこを上げながら。足だって遅くないし盗塁、走塁、守備も上げてくることで大山とかと勝負できるところに入ってくる」

 -モレノが5失点した翌日に登板させた。選手の気持ちに立った起用をしている印象。

 「それは星野さんに学んだのよね。(星野さんは)若い時に呼んでもらったらすぐ使うのよ。アカンかった時に『もう一回やり返してこい』とか、星野さんはすごくあって。モレノは打たれちゃったけど、マテオは安定していないし、チームの編成を考えた時に、やられたから使わないと、チーム的にも本人的にも全部死んでしまうと思ったから」

 -指導者3年目、自身の変化は。

 「前までは作戦兼バッテリーコーチで、全体的なメッセージを言うのがなかなか難しいところにいた。今は立場的に『超積極的』とか、全体にメッセージを伝えられる。すごく充実している」

 -最後に、今後の目標を。

 「選手も喜んでファンも喜んでくれたら最高だなと思う。それができれば選手も、ファンも、俺もうれしいから。それを目標に頑張っていきたい」

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