能見2回0封、サヨナラ勝ち呼んだ 8年ぶりリリーフ星で99勝
「交流戦、阪神3-2ロッテ」(9日、甲子園球場)
今季最多4万6723人が詰め掛けた甲子園が沸きに沸いた。阪神を今季2度目のサヨナラ勝ちに導いたのは、能見篤史投手(39)ら救援陣の奮闘だ。阪神は2-2の延長十二回1死一、二塁、代打山崎が遊ゴロに倒れたが相手守備が乱れた間に中谷が二塁から生還した。延長十一回から登板した能見が2回無失点で今季初勝利を挙げ、通算99勝とし大台にあと1に迫った。
劇的な幕切れを呼び込んだ立役者は能見だ。ベテランの踏ん張りがなければ、サヨナラ勝利はあり得なかった。リリーフでは今季初めて2イニングを投げ、つかんだのは今季初勝利だ。歓喜に沸くグラウンドで福留から何度も右肩を叩かれ、ねぎらわれた。
「球児がしっかり切ってくれたというのもありますし。特に考えていないですけど、少し冷静になりながらと思って。まずは腕は振っていくことが大事だったので」
2-2の同点で迎えた延長十回。2死満塁と絶体絶命のピンチで登場した藤川が、清田を空振り三振に仕留めてしのいだ。仲間たちがつないでくれた“たすき”を汚すわけにはいかない。延長十一回から勝利を信じてマウンドに登った。
名前がコールされるとスタンドが沸く。先頭のドミンゲスを中飛に抑えるなど三者凡退。2イニング目となった十二回には、四球と犠打で2死二塁と得点圏に走者を背負ったが、中村を外角いっぱい、140キロの直球で中飛に。2回無安打無失点で役目を終えた。
チームの諦めない姿勢が相手のミスを誘い、つかみ取った1勝。今季初白星で通算99勝目となり、節目の100勝に王手をかけた。「できたらいいですし、まあでも自分の仕事をしっかりしないとなかなかそういうものはないので。自分の勝利を目指すのではなくてね、本当にね。リリーフのためにもしっかり頑張りたい」と任された仕事をこなすことに全力を注ぐ。
球速では測れない、ボールのキレで打者をねじ伏せる。春季キャンプでは第4クールまで、ブルペンで直球のみを投げ続けた。「変化球を投げるのは、真っすぐを投げられるようになってから。まず、(軸となる)真っすぐが投げられないとね」。シーズンを見据えて、制球力と質に磨きをかけた。
これで、雨天中止翌戦のチームは7戦7勝で勝率100%。不敗神話は継続した。幾度となく修羅場をくぐり抜けてきた左腕がフル稼働で支え続ける。