球児、675日ぶりセーブ ドリス不在で金本監督「もう、球児を信じるしかない」

 「交流戦、楽天1-2阪神」(16日、楽天生命パーク宮城)

 ベンチから小走りでマウンドに向かった。阪神・藤川の名前がコールされると、驚きと大歓声が広がる敵地スタンド。金本監督が託し、ファンが願い、ナインが信じた1点差の救援。杜の都で守護神が復活した。ドリス不在の危機を救い、675日ぶりのセーブで連勝だ。

 久々の“出番”は突然だった。1点ビハインドの九回。味方が2点を取って土壇場で逆転に成功した。1点差で巡ったバトン。流れが行き来する展開。アマダーに対して初球、藤川は148キロを選択した。2-2から7球目、最後は149キロで空振り三振を奪った。

 続く茂木も直球勝負で空振り三振に。「火の玉」と呼ばれたストレートは健在だ。2死から一、二塁を背負ったが、最後は田中に5球続けて直球勝負。捕邪飛で試合を完了させた。「じっくりやっていきます」。試合後、安どの笑みがのぞく。ドリスが14日に高熱の症状を訴えて抹消。金本監督は迷わず藤川に代役守護神を託した。

 「もう、球児を信じるしかないわね。経験と、あのボールをね」

 プロ通算19年目。日米通算225セーブのベテランには確かな読みと準備があった。「今年に関しては誰かが崩れるかもしれない。どこかが欠けたら困る」。昨季、60試合登板クインテットを形成したマテオ、高橋聡も現在離脱中。藤川は1月の自主トレからブルペンに入るなど、練習に強弱を付けながら不測の事態に備えていた。

 今季ここまで19試合の登板で、防御率1・83と安定感を誇る。だが、ベテランが1勝に、1セーブに浮かれることはない。「まだ6月なので。後半になれば、もっとしんどい場面がくる。じっくりやっていきます」。見据えるのは夏場から、秋にかけての優勝争いか。12球団トップの防御率を誇る投手陣。中心で藤川の存在感が光る。

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