俊介、初クリーンアップ弾 二回一挙6点呼ぶ先制パンチ
「ヤクルト5-6阪神」(1日、神宮球場)
一振りで寺島の心を打ち砕いた。若き左腕が自信を持って投げ込んだ内角低めのスライダーを、左翼ポールにブチ当てた。プロ入り初めて5番に座った阪神・俊介。ただの一発ではない。相手投手に深いダメージを残すアーチは、文句なしにクリーンアップの仕事だ。
「前でさばけて、うまくヘッドが返ってくれた」と笑った俊介。寺島の前に、初回から4者連続凡退で迎えた二回1死からの第1打席だった。カウント1-1からの3球目、膝元に落ちてくるスライダーに対し、左肩の開きを我慢してバットの芯に乗せた。
本来ならフック回転がかかってファウルになるはずの打球は、真っすぐに飛んで左翼ポールを直撃。「切れなくてよかったです」と言うが、インサイドアウトのスイング軌道でなければ絶対に本塁打にはならない1球だ。
強烈な先制パンチを寺島に打ち込み、若き左腕の投球リズムとメンタルを破壊。直後、4四球を絡めて作った一挙6点のビッグイニングがその事実を物語っている。プロ入り後は足の速い“小兵タイプ”と評されてきたが、クリーンアップを任されていた近大時代の印象は真逆。小柄なスラッガーとして名をはせていた。
関西学生野球リーグの関係者は「体は決して大きくなかったけど、スイングの速さと強さはすごかった。振れるバッターだった」と当時を明かしていた。プロでクリーンアップを任せられるだけの可能性を秘めていた俊介。10年前を知る人間であれば、この日の姿は何ら不思議な結果ではない。
金本監督が「(他に)いないじゃん。今日は打線は正直、きつかったけど」と率直な心境を明かした。開幕オーダーの中軸を全員欠く中で5番抜てきに応えた俊介。実はこれが、本来の姿なのかもしれない。