藤浪の惨劇 自己最短1/3回5失点KO…ロード前ラスト聖地涙雨
「阪神3-9広島」(26日、甲子園球場)
後半戦のキーマンに指名された右腕が大乱調だ。阪神は先発の藤浪晋太郎投手(24)が初回、4四球を与え、自己最短の1/3回2安打5失点でKOされた。突然の大雨で1時間12分遅れで試合開始。その直後の惨劇に球場は悲鳴と怒号に包まれた。チームは夏の長期ロード前最後の甲子園で大敗。5位に転落した。
左手にはめたままのグラブを、たたきながら帰り道を歩いた。行き場のない怒り、苦しみ、謝罪の心。制御できない状態の中、藤浪は正直な胸中を吐露した。「悔しいです」。1死しか奪えず4四球、5失点での自己最短降板だ。打倒・広島を誓って臨んだ一戦は、初回に決まった。
登板前から悲劇が襲った。開始2分前、マウンドに向かおうとした矢先、突然の豪雨がグラウンドに打ち付ける。ベンチに戻るしかなく、1時間12分遅れで試合開始。その間、ブルペンでの投球練習など、準備には余念がなかったものの、狂ったリズムを戻すことができなかった。
先頭の田中にバントの構えを見せられるなど、揺さぶられて四球を与えた。続く安部にはストライクが先行したが二遊間を破られて一、三塁。丸をフルカウントから四球で歩かせ、鈴木の遊ゴロの間に先制点を失った。さらに松山に四球。再び満塁となった。
続く西川にはカウント1-1から3球目、真ん中に甘く入った152キロを狙われた。左中間を破る適時二塁打でさらに2失点。岩本にストレートの四球を与えると、たまらず金本監督がベンチを出て交代を告げた。岡本が磯村に2点適時打を浴び、藤浪は計5失点。ベンチで唇をかみ、じっと戦況を見つめた。
「言い訳にできない。やりにくかったのはやりにくかったけど、それが理由ではない」
遅延、グラウンド状態不良。右腕は不運の全てを否定した。19日のウエスタン・ソフトバンク戦で4回2安打無失点。「すごく感じがよかった」という中で1週間を過ごし、臨んだ後半戦初登板。「自分の中で、試合でいろいろと試みたんですが、どうしようもなかったです」。強い思いは空回りした。
後半戦のキーマンに指名し、広島にぶつける形で託した一戦。金本監督も無情の結末に、厳しい言葉を並べるしかなかった。「見ての通りです。(次回登板は)厳しいかもなあ」。次週は4試合の変則日程。再び登録を抹消される可能性が高い。「チームに申し訳ないです」と藤浪。チームは5位に転落。なかなか波に乗れない。