福留「頼む」虎党必死の叫び 41歳連夜のひとり適時打「全員でやっていかないと」
「ヤクルト8-2阪神」(27日、神宮球場)
敗戦後の三塁ファウルゾーン。スタンドから厳しい声が浴びせられる中、孤軍奮闘のベテラン・福留孝介外野手にはエールが向けられた。「福留、頼む、頑張れ!!」。大敗の中で記した2安打、3出塁も、勝てなければ意味がない。阪神・チーム最年長の主将は、ナインの総意を代弁した。
「全員でやっていかないといけない。そう簡単に、物事が変わるわけじゃないからね」
言葉を体現するように、必死にバットを振った。1点ビハインドの三回。糸原、北條の連打で一、三塁を作ると、ここで主将が打席に立った。難敵カラシティーに対して2-2からの5球目。外角低めに落ちるフォークを狙った。見送ればボール球。食らい付いた打球は三遊間を抜けた。
一時勝ち越しにつなげると、五回にも中前打でチャンスメーク。2戦連続の適時打&マルチ安打の活躍だ。「後ろにつなごう。それだけじゃないかな」。後半戦に限れば9試合の出場で33打数12安打。打率・364、7打点と勝負どころでの打撃が光る。糸井が欠場時には4番に入り、右翼も守る。夏場に入ってのフル回転が頼もしい。
だが、チームは後半戦に入って3勝7敗。投打がかみ合わず、なかなか波に乗れない。5連敗中も「いつか止まるではなくて、今日止めるんだ!!」とナインを鼓舞し、強く士気を高める姿もあった。この日の練習中にも岡崎らをイジって、雰囲気を明るくしようと努めていた。頻繁に若手らも食事に誘い、一体の空気を高めている。
「みんなが後ろにつなぐ意識を持っているから」。借金が膨らむ窮状にも福留は必死に前を向いた。反撃に転じるために必要なのは、一丸で戦う強い精神力、結束力。皆持っているという。昨季まで5年連続勝ち越している長期ロードは始まったばかりだ。残り59試合。ファイティングポーズは崩さない。