鳥谷打で3連勝ゲッツ!ベテラン輝らり先制V撃 今季初の3カード連続勝ち越し
「DeNA3-8阪神」(11日、横浜スタジアム)
阪神が3連勝。2試合連続の2桁12安打で8点を奪い、今季初の3カード連続勝ち越しだ。二回無死一、二塁から鳥谷敬内野手(37)が右前へ先制打。6月27日以来となるベテランの適時打で勢い付いた打線が、敵地でDeNAを圧倒した。横浜スタジアムでのシーズン9勝は、リーグ優勝を果たした03年以来、15年ぶりだ。
笑みすら見せることなく、一塁上では次のプレーに集中した。出場3試合連続、2049本目の安打。積み上げた勲章、結晶の1本は、貴重な先制&決勝点になった。チームは2戦連続2桁安打で3連勝。2位・巨人にゲーム差なしと肉薄した。導いたのは鳥谷だ。
「バントもあるかなと思ったけど。打たせてもらったので、なんとかつなぎたかった。常に準備はしているので。言われた時にしっかりやるだけです」
ハイライトは二回。糸井の右翼線二塁打、ナバーロの四球で巡った無死一、二塁。昨季0勝3敗の浜口に対し1-1から3球目。真ん中に入る143キロ直球を狙った。鋭いライナー性の打球が二塁頭上を越える。右前打が6月27日のDeNA戦以来、出場21試合ぶりの適時打となった。
連続試合出場記録が途切れて以降、主に代打での出場…出番のない試合も珍しくなくなった。それでも以降、球場入りは遅くなるどころか、早まったという。デーゲームの球場入りは7時台。静かに出番を待った。左腕・浜口に対しての起用。金本監督の采配がズバリ的中した。そんな指揮官の思いと同じように、夏場の活躍を予言した男がいた。早大時代のチームメート、ヤクルトの青木だった。
「この年齢になると、モチベーションを維持するのが難しくなってくる。トリはその1つが、連続出場の記録だったと思う。でも、代打で打ったりする姿を見ると、また違うすごさを感じますね」
7月1日。青木が岩貞から頭部死球を受けた翌日に、鳥谷はヤクルトの関係者に症状を聞いて回った。大学時代はライバル関係。いまは敵チームだが、互いに意識し、高め合う間柄だ。青木は言う。「同世代の選手が少なくなった。すごく刺激になる仲間。お互い、1年でも長く野球ができたら」。その存在は同世代の希望で、唯一無二の選手でもある。
五回には左翼線二塁打で、7月8日・DeNA戦以来のマルチ安打。守備では再三、マウンドに歩み寄って小野を励ました。「一つずつしっかりな」。敵地横浜で今季9勝1敗。2003年以来で、10勝すれば37年ぶりの快挙だ。「目の前の試合をなんとかするしかない」。広島とは12・5差。胸に秘めるのはメークドラマを超える逆転優勝だ。奇跡の戦いは、まだ終わらない。鳥谷が終わらせない。