「阪神７－４広島」（１４日、京セラドーム大阪）

　阪神・金本監督の表情から確かな手応えがにじんでいた。王者・広島を相手に先制されても逆転した。再逆転を許してもあきらめずに、三度、試合をひっくり返した。「いつも広島にやられている負け方というかね」。スローガンに掲げる執念が、負ければマジック点灯の正念場で発揮された。

　その姿勢を呼び起こした要因が指揮官のタクトにもあった。八回無死一塁、代走に植田を送り、カウント２ボールから俊介にバントではなくヒットエンドランを命じた。遊ゴロとなって１死二塁と好機を広げると、梅野が続いた。そして代打・原口が価値ある同点適時打を放った。

　なおも一、三塁から指揮官は手を緩めず「あそこは一塁がノーマークの場面ですからね。バッターは１球待って、いただけるところはいただきましょうというところですから」。代走・大山に初球スチールを命じ、成功したことで一塁が空いた。相手バッテリーに満塁勝負を選択させる余地を与えたことで、結果的に福留の押し出し四球が生まれた。

　“攻めダルマ”となって、機動力をフルに生かした戦術。それこそ、広島が得意とする波状攻撃をほうふつとさせた。俊介へのエンドランについて「結果、待てのサインでスチールだったら二塁に行けていたからね。あれは僕の失敗」と金本監督は振り返ったが…強気に流れを変えに行った一手が実を結んだ。