大山、3番スタメン起用でマルチ 先発では7・4以来のタイムリー
「ヤクルト8-5阪神」(19日、神宮球場)
阪神・大山悠輔内野手(23)が「3番・左翼」で8日・巨人以来の先発出場。三回2死一、二塁で、左中間に2点二塁打を放った。スタメンでのタイムリーは7月4日・中日戦以来。休養日だった福留の代役を見事に果たした。
名前が記されていた。クリーンアップの一角、『3番・左翼』。大山は覚悟を決めていた。「僕にとっては1打席、1打席全てが勝負なので」。福留休養日の“代役”に抜てきされ、つかんだ先発出場の機会に力を込める。2安打2打点。結果は出た、それでも…チームの敗戦に帰り道をただただ、急いだ。
23歳で一人、腹を据えた。3点を追う三回だ。梅野が四球で出塁するも、先発の岩田が犠打を決めきれず痛恨の併殺打に。不穏な空気が流れる中、再度作った2死一、二塁の好機で、大山が2打席目を迎える。8日の巨人戦以来となる先発出場に、「やるしかない」。気持ちは決まっていた。高めに浮いた直球に鋭いスイングで反応。打球は力強く左中間へと抜けていった。
走者を一気に生還させる2点二塁打で、3試合ぶりの打点をマーク。さらに五回には2死走者なしから変化球を左前へとはじき返した。マルチ安打は5月27日以来と約3カ月ぶり。九回にはフルカウントから四球を選び、最後の最後まで執念の勝利へ、バトンを後続につなぎきった。
代打や代走…守備固めとしての途中出場が続く毎日だった。「正直楽しみというのはなくて、不安でしかない」。開幕前にもらしていた心配事は今も曇ったままだ。なかなか晴れないでいた中で、巡ってきたチャンスをつかみとりたかった。
外野でのスタメン出場は今季初。試合前の練習では三塁、一塁…そして外野守備へと持てる時間を使い、懸命に白球を追いかけてきた。「自分にとっては全部勝負。チャンスをものにできるか、できないか…。1日だけではダメなので、続けられるように頑張ります」。言葉は、思いとは裏腹に弱々しかった。試合に出た者として背負うべき敗戦の重み。大山がうつむく顔を上げることはなかった。